9日に開かれた今国会初の衆院憲法審査会は、与党に加え一部の野党も改憲原案をつくる「条文起草委員会」の設置を主張した。自民党は衆院で単独でも憲法改正の発議に必要な3分の2超の議席を確保。改憲への明確な反対勢力が少ない中、起草委の設置や改憲発議が現実味を帯びてきており、巨大与党が「数の力」で改憲議論のアクセルを踏む可能性もある。 「自民党の委員が席巻する風景は心強い」。日本維新の会の馬場伸幸氏は意見表明の冒頭、50人中34人を占める自民の委員を見渡して語り始めた。審査会の委員数は議員数に応じ、各党に配分され、自民は昨年の21人から34人に増え、維新と合わせた与党で8割近くの38人に上る。 自民、維新は昨年10月に交わした連立政権合意書で起草委の設置を明記。与党は昨年の臨時国会でも設置を求めたが、少数与党では実現しなかった。それが衆院選での与党の大幅な議席増で状況が一変した。改憲に意欲を示す高市早苗首相(自民総裁)も、昨年は立憲民主党が握っていた審査会長のポストに、長く自民内の改憲議論を主導してきた保守派の古屋圭司氏を指名。改憲議論に向けた体制を整えた。 この日は与野党7会派が今後の議論の進め方について意見表明。自民の新藤義孝氏が「条文起草委員会」の設置を提案すると、その後も起草委設置を求める声が相次いだ。維新の馬場氏は「一刻も早く国民投票が実現するようリードする」と強調。国民民主党の玉木雄一郎氏も「ほぼ論点は出尽くした」と述べ、「起草委を設けて優先的に議論したい」と呼び掛けた。
■中道の対応焦点に
焦点の一つになるのは立民、公明両党の衆院議員を中心に結党された中道改革連合の対応だ。立民は改憲に対して慎重姿勢が強かったが、与党だった公明は「加憲」を掲げていた。 公明出身の中道の国重徹氏は、憲法審で改憲を目的とした議論には応じられないとしながらも「現行憲法を固定的に捉え、時代や社会の変化に伴う新たな課題に目を閉ざす立場にもくみしない」と主張した。改憲に明確に反対姿勢を示したのは委員が1人の共産党だけだった。 憲法審は国会の他の委員会と異なり、与野党の幅広い合意を目指す「中山方式」をとってきた。故中山太郎氏が提唱した運営ルールで、政局と一定の距離を保ち、少数会派を尊重しながら合意形成を図るものだ。だが、審査会長の古屋氏は報道機関のインタビューに、一般論とした上で「最終的に採決というものもある」と発言。「数の力」で議論を進めていく可能性も示唆している。 改正項目の絞り込みでは戦力不保持を定める憲法9条も議論の中心になる。自民の新藤氏は「国防の規定を憲法に明確に位置づける必要がある」。維新の馬場氏は「自衛隊を名実ともに軍に近づける」と述べ、参政党の和田政宗氏も「自衛のための自衛軍保持」を主張した。







