■第73回別府大分毎日マラソン大会(2日、大分市高崎山うみたまご前~大分市ジェイリーススタジアム、42.195㎞) 東京2025世界陸上の代表選考会を兼ねた別府大分毎日マラソンが行われ、今大会で引退を表明していた青山学院大の若林宏樹(4年)が2時間6分7秒(速報値)を叩き出し、日本人トップの2位でフィニッシュ。初のマラソン挑戦で、国学院大・平林清澄(4年)が持つ初マラソン日本最高&日本学生記録(2時間06分18秒)を塗り替える快挙を成し遂げた。 さらに2023年のイブラヒム・ハッサンの大会記録(2時間06分43秒)も上回り、東京世界陸上・男子マラソン参加標準記録(2時間6分30秒)も超え、日本歴代7位の好タイムと記録ずくめのレースとなった。 大会はビンセント・キプチェンバ(34、ケニア)が2時間6分01秒で優勝。最後までキプチェンバに迫った若林は日本人トップの堂々2位でゴール。先月、箱根駅伝(1月2日)の山上り5区では区間新を記録し、全国都道府県対抗駅伝(1月19日)を経て臨んだ今レースで魂の“ラストラン”をみせた。 レースはスタート時の気温8.5度、風速1.5mと絶好のコンディション。最初の5kmを先頭集団が14分55秒で通過し、平林、若林ら有力日本人選手も集団で安定した走り。 以降も1km、3分00秒前後のラップで刻み、中間地点を過ぎても20人ほどの集団で後半へ。24km過ぎで国内招待選手の髙久龍(31、ヤクルト)、27km過ぎで村山謙太(31、旭化成)が少し遅れ始める。 平林、若林、青学大の白石光星(4年)ら学生有力選手が先頭集団にしっかりついていき、前回優勝者のワークナー・デレセ(29、ひらまつ病院)は一度後方に離れるが再び集団に戻り、30km地点で優勝争いは9人に絞られた。 ペースメーカーが外れ、集団が少し縦長になり、33km付近で平林と2時間04分28秒の自己ベストを持つビンセント・キプチェンバ(34、ケニア)が先頭を引っ張り、若林も3番手で粘りの走り。 35kmを過ぎてキプチェンバがギアを上げて抜け出すと、若林がついていき、平林が少し口が開いて遅れ、地元・大塚祥平(30、九電工)が3番手で前を追った。平林は先頭から大きく離れ、残り3kmで優勝争いはキプチェンバと若林の2人に。40㎞付近では首を左右に振りながら苦しい表情を見せるもしっかりとキプチェンバについていった。 「いける!いける!いける!若林!」と解説の原晋監督(57)も興奮する中、40.6㎞付近で若林が先頭に。しかし、41㎞付近で今度はキプチェンバがスパート、若林はすぐに反応出来ず、差が少し開いてしまったが、苦しい表情を見せながらもキプチェンバの背中を追った。 沿道からも「若林行ける!」「若林頑張れ」の声が響き最後のトラック勝負へ。最後の最後まで力走をみせ、大きく手を挙げ倒れ込むようにゴールテープを切った。タイムは2時間6分7秒で初マラソン日本最高、そして、日本学生新記録、大会新記録をマークした。 ゴール後、若林は「10年間の陸上生活の有終の美を飾れたかなっていうふうに思っています」と話し、「なかなかしんどいっていうか、初めてのマラソンだったのでひたすら長いなって感じだったんですけど、声援の“ありがとう”という言葉で救われました」と振り返った。「山あり谷ありの陸上人生だったんですけど、最後まであきらめずに走り続けて本当によかったと思いますし、本当にやり切ったなって感じです」と締めくくった。 さらに解説で訪れていた瀬古利彦さんからは「これで本当に終わるの?」と言われると「本当に終わります」と口にし、青山学院大の原監督は「瀬古さん、これ以上余計なことは言わないでください」と止めに入ったが、「世界陸上選ばれるかもしれないから」とさらに突っ込む瀬古さんに対し、若林は笑顔で首を振っていた。 【第73回別府大分毎日マラソン大会・結果(速報値)】 優勝:ビンセント・キプチェンバ 2時間6分01秒 2位:若林宏樹 2時間6分07秒 3位:大塚祥平 2時間6分37秒 4位:足羽純実 2時間7分11秒 5位:ワークナー・デレセ 2時間7分46秒 6位:白石光星 2時間8分42秒 7位:高山豪起 2時間8分50秒 8位:茂木圭次郎 2時間9分06秒 9位:平林清澄 2時間9分13秒
10位:ドミニク・ニャイロ 2時間11分21秒
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本人の意思も、引退はもったいない。
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