この週末は、MotoGP第4戦スペイングランプリが行なわれています。舞台はヘレス“アンヘル・ニエト”サーキットで、土曜は公式予選日――。よほどのことがなければ土曜からニュースを上げることはないWebオートバイですが(笑)、その「よほどのこと」が起きました!
予備予選ことQ1と、最終予選のQ2を終えてポールポジションを獲得したのは、なんとペトロナスYAMAHAのファビオ・クアルタラロ! 今シーズンMotoGPクラスに昇格してきたルーキーで、開幕戦でほら、スタート直前にグリッドでエンジンストールしちゃって最後尾スタートした、あのルーキーです!
FP1からFP3までの総合順位で決まるQ2進出は、以下の10人。
1:ダニロ・ペトルッチ (ドゥカティ・ファクトリー)
2:マルク・マルケス (レプソルホンダ)
3:ファビオ・クアルタラロ (ペトロナスヤマハ)
4:アンドレア・ドビツィオーゾ(ドゥカティ・ファクトリー)
5:ジョアン・ミル (スズキECSTAR)
6:アレックス・リンス (スズキECSTAR)
7:中上貴晶 (LCRホンダIDEMITSU)
8:カル・クラッチロウ (LCRホンダCASTROL)
9:フランコ・モルビデリ (ペトロナスヤマハ)
10:ホルヘ・ロレンソ (レプソルホンダ)
そしてQ1を勝ち上がってきたのは
11:マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジーヤマハ)
12:フランチェスコ・バニャイア(プラマック・ドゥカティ)
なんと、バレンティーノ・ロッシ(モンスターエナジーヤマハ)もジャック・ミラー(プラマック・ドゥカティ)もQ2に進めませんでした。
そのQ2では、まずマルケスが2周目にトップタイム1分36秒970を出すと、5分経過頃に続々とタイムアタックが始まって、モルビデリが2番手、ペトルッチが3番手、リンス、ドビツィオーゾが4番手を争って、クアルタラロが5番手に上がって来たり。
このへんでみんなニュータイヤに履き替えてファイナルアタックに入ります。コースイン早々、ロレンソがフロントを切れ込ませて転倒すると、残り2分半ごろにクアルタラロがトップタイムをマーク! コメンタリーブースがドッと沸くと、間髪入れずにチームメイトのモルビデリが2番手に浮上! セッション中盤のドビツィオーゾ、終盤のペトルッチと、ドゥカティはセクター3くらいまではベストタイムできていたんだけれど、最終セクターで伸びなかったりで、マルケスも抜き返すことなくセッションは終了! ドゥカティ勢、調子よさげだけれど、この最終セクターがカギですね。
これでクアルタラロがポールポジション、モルビデリが2番手と、ペトロナススプリンタYAMAHAが予選1-2を決めてしまいました! ペトロナススプリンタは、言うまでもなくヤマハのサテライトチーム。ファクトリーのロッシとビニャーレスはQ1落ちで、なんとかビニャーレスはQ2進出できたものの、ロッシは進出ならず5列目13番手! しかもモルビデリはロッシ道場の門下生みたいなものですから、ちょっとヤマハファクトリーの、ロッシの心中穏やかじゃないでしょうねぇ……。
まったくマシンがよくならないよ……ってロッシやビニャーレスがボヤいたって、同じマシンか、ともすれば最新パーツがまだ入っていない方のサテライトマシンが予選1-2なんだから、ちょっとどうなってんだろう……。YZR-M1が調子いいんだか悪いんだか、ホントによくわかりませんね。
クアルタラロは、もちろんこれがMotoGPクラスの初ポールポジション。1999年4月20日が誕生日、つまりまだ20歳と14日のクアルタラロは、最高峰クラスのポールポジション最年少記録を更新です! それまでは、まだ記憶に新しい、マルケスが2013年の第2戦アメリカズグランプリで達成した「20歳62日」でしたが、クアルタラロはこれを48日短縮したことになります。ま、どっちも「ハタチになってすぐ」には変わりないんですが、記録っていうのはそういう細かいもんですw。
ちなみにマルケスは、レースキャリアで初めて、フロントローの中で「最年長」になっちゃったそうです。クアルタラロ20歳、モルビデリ24歳、そしてマルケスは26歳です。
「信じられない! スゴい! 36秒なんてスゴいタイム出すなんてね! ここヘレスで2回目(初回は2015年Moto3クラス時代)のポールポジションなんだ! ホントにビックリ! この結果はチームスタッフのおかげだよ。ルーキーチームなのに1-2なんてスゴいよ。今シーズン、またこういう結果を出していきたい」と走行直後のクアルタラロ。クールダウンラップでは、マルケスにコース上で祝福されて、いぃぃぃヨーーーッシャ!ってガッツポーズが初々しかったです。
ちなみに、ここヘレスで行なわれた2018年の最終テストでトップタイムをマークした中上貴晶(LCRホンダIDEMITSU)はキャリア初のQ2ストレート進出からの3列目8番手を獲得。この予選順位も自己ベストですね。しかしタカ中上とポールポジションとの差が0秒452! ポールポジションから18番手のヨハン・ザルコ(レッドブルKTMファクトリー)までが1秒以内に収まるというモノスゴい予選でした!
そして、ファビオ? クアルタラーロ?クワッタハッホとは別人なの?――なんてよく言われる「ファビオの苗字、読み方のナゾ」にもちょっと触れときます。
表記は「Fabio QUARTARARO」。クワッタハッホって呼び方は、MotoGPの日本でのTV中継で使われている呼び方で、これは日テレジータスMotoGPチームの方が、いつも最初に現地で本人に名前の発音を確認するものです。
ファビオがMoto2クラスに昇格した2017年ごろに放送で使い始めたんじゃなかったかな……。2015年にCEV(=スペイン選手権)からMoto3に参戦を始めたばっかりの頃には「クワルタラロー」みたいな呼び方をしていて、確か一定していなかったはずです。
MotoGPの英語放送を聞いていると「ファービオ・クァルタラーロ」みたいな発音をしているし、「ラーロ」のあたりが「ラーホ」に聞こえたり、「クワッタハッホ」って字幕が出ていたらそう聞こえるしで、僕もこの発音の仕方は疑問だったんです。
で、2019年からのMotoGP昇格が決まった後、2018年の日本グランプリで、顔見知りの外国人プレスに聞いてみました。聞いた相手はイギリスのジャーナリストで、まぁ同じEU圏内だもん、わかるだろ、と。
――ねぇねぇ、ファビオのファミリーネームってどう発音するの?
「QUARTARAROだよ」
――は? なんて?
「だからQUARTARARO!QU・ARTA・RAROだよ」
――いや、わかんねぇし。
「……じゃファビオでよくね? あいつの名前はファビオだ!」
いや、そうじゃなくて(笑)。念のために、その知人からフランス人ジャーナリストにも聞いてもらったんだけど
「QUARTARAROですよ」と。か、解決にならねぇ(笑)。
もともと、英語をカタカナに直すのさえ正解がないのに、フランス語だものね。人名だって、少し前には「ホルヘ・ロレンソ論争」がありましたよね。「ホルヘ」なのか「ホーゲ」なのか、「ロレンソ」なのか「ロレンゾ」なのか「ロレンツォ」なのか――。クルマの世界だって、JAGUARのことを「ジャグワ」って呼ぶ評論家もいるし、それでも日本人のほとんどは「ジャガー」って発音するし、カタカナ表記の正解ってないんですよね。 「メーツェデス」なのか「メルセデス」なのか、「ハーレー・ダビッドソン」なのか「ハーレー・デイビッドソン」なのか――。
決着は、公式表記にかかっています。というのも、Moto2時代まではファビオは日本メーカー契約ではなかったため、日本語でプレスリリースが出されることがありませんでしたが、今年はヤマハのサテライトチーム所属ということで、ヤマハが日本語でプレスリリースを出しているんです。
結論は「ファビオ・クアルタラロ」。ヤマハが発表しているんだから、これが正解! ホントは統一したいんですけどね、ここは日テレG+が折れてくれたら平和的解決なんだけど……どうなるかなー。そーっと直してもいいんですよ、G+さんw
ちなみにWebオートバイでは今後も「ファビオ・クアルタラロ」で統一して行きます。決勝レースは、あす日曜! クアルタラロはどーなる、マルケスは? ドビツィオーゾは? そしてロッシは? タカもいちばん好きなこのコースで、トップ争い見せてくれーっ!
■MotoGP第4戦 スペインGP 公式予選結果
1 ファビオ・クアルタラロ ヤマハ 1’36.880s
2 フランコ・モルビデリ ヤマハ +0.082s
3 マルク・マルケス ホンダ +0.090s
4 アンドレア・ドビツィオーゾ ドゥカティ +0.138s
5 マーベリック・ビニャーレス ヤマハ +0.234s
6 カル・クラッチロウ ホンダ +0.295s
7 ダニロ・ペトルッチ ドゥカティ +0.329s
8 中上貴晶 ホンダ +0.452s
9 アレックス・リンス スズキ +0.471s
10 フランチェスコ・バニャイア ドゥカティ +0.504s
写真/Yamaha Honda motogp.com 文責/中村浩史
(carview)
ヤマハのサテライトの1、2はすばらしい。
決勝が楽しみです。