コメ価格の高止まりが続く中、田植えが本格化する時季を迎えている。2025年産米の不足感を受け、新潟県は主食用米の生産目標を引き上げた。さらにJA全農県本部は24年産の水準を上回る仮渡し金の最低保証額を示している。これらを受け、県内では主食用米の作付けが増える見込みだ。その一方、主食用米への転換に伴い加工用米も品薄となり、価格が高騰。米菓メーカーは原料確保に頭を悩ませている。
雨の合間、田んぼが乾くのを待って耕運機のエンジン音が響く。「25年産はオール主食用米にしました」。長岡市で27ヘクタールを耕作する「金子農場」(同市)の金子健斗代表ははっきりと答えた。
例年は耕作面積の2割ほどで飼料用米を栽培していた。だが、25年産主食用米の価格は24年産の水準を維持する見通しがすでに示されているため、金子代表の試算では、国などの助成金を加えた飼料用米との収入差は約1・5倍になる。
高く売れることもあるが、消費者にコメが行き渡らない現状を少しでも解消したいという思いもある。金子代表は「高すぎない、安定した価格でコメを提供できるようにするためにも増産は必要だ」と話す。肥料や機械など農業資材の高騰も続いているため生産コストは上昇しており、利益を圧迫し続けている。
地域JAとして全国トップクラスのコメの取扱量があるJA新潟かがやき(新潟市西蒲区)は 、生産者に対し主食用米の作付面積の目安を従来の7割から8割に増やすよう呼びかけた。同JAは「増産しても売れる。何より農家所得の最大化を図らなければならない」と説明する。
一方、非主食用米の作付面積はその分減るため、加工用米など非主食用米の生産量は落ちる見通しだ。同JAの関係者は「主食用米に振り切らず、加工用米などを必要とする実需に応えるためにも、最低2割は作ってほしいというメッセージでもある」と狙いを説明する。
加工用米から主食用米への転換で、影響を受けるのが米菓業界だ。県内企業が全国出荷額の半分を占める米菓。各社は値上げや、輸入米比率引き上げなどによって対応している。
国産原料にこだわる米菓大手の岩塚製菓(長岡市)。4月28日、新潟市西蒲区の県農業大学校で田植えを行った。環境に配慮した農法で、いかに多く収穫できるか調べる栽培実証だ。
業界関係者によると、主食用米高騰のあおりを受け、米菓原料米の価格も上がり、量の確保が不安視されているという。同社は25年産米の購入量の調整を進める。購買担当の小林晴仁常務は「難しい状況だ。24年と同等になるよう動いているが」と苦しい状況を説明する。「コメが足りない今、一俵でも、一粒でも、多く取れることが重要」と、水田を眺めながら力を込めた。
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夏の猛暑予報で不作であれば、またコメ不足でますます価格高騰でしょうか。

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