21日、イギリス、カナダ、オーストラリアの3か国がパレスチナを国家として承認したと発表した。なぜ今、承認に踏み切ったのか。また、パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘に影響はあるのか。 ■これまで パレスチナ暫定自治政府の外務省によると、パレスチナを国家承認している国はおよそ150か国。多くは、1988年にパレスチナが「独立」を宣言した時に承認していて、国連安全保障理事会の常任理事国5か国(アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシア)のうち、中国とロシアもこの時に承認した。 しかし、G7=主要7か国(アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、カナダ、イタリア、日本)は、基本的に、イスラエルとパレスチナが平和的に共存する「2国家共存」の原則を共有してきたものの、これまでパレスチナを国家として承認してこなかった。 ■最近の動き 2023年10月から始まった、イスラエルと、ガザ地区のイスラム組織ハマスとの戦闘で、ガザ地区での死者は6万5000人を超えた。こうしたイスラエルのガザ地区への激化する侵攻に「反対」の意味を込め、2024年、スペインやノルウェーなど9か国が相次いでパレスチナを国家承認した。 さらに今年7月末には、フランスのマクロン大統領が「9月の国連総会でパレスチナを国家として承認する」と表明。G7の国の中では初めての表明だった。マクロン大統領は声明の中で、中東の永続的な平和実現のためと説明した上で、「ガザ地区での戦争を終わらせ、人々を救うことが急務だ」と述べた。 その後、イギリスとカナダも承認の意向を表明、今回の正式承認につながった。イギリスのスターマー首相は国家承認をすることで「パレスチナ人とイスラエル人の双方に対し、より良い未来が実現できる」と述べている。 一方で、アメリカ、イタリア、ドイツは承認の意向を示していない。ロイター通信によると、イタリアのメローニ首相は7月末、地元メディアからパレスチナの国家承認について問われ、「存在しないものが書類上で認識されると、問題は実際には解決していないのに、解決したように見える可能性がある」と述べ、国家承認は逆効果となる可能性を指摘したという。 ■今後は? 今後、フランスもパレスチナを国家承認すれば、国連安全保障理事会の常任理事国のうち、4か国が承認することになる。残るはアメリカだ。しかし、アメリカがパレスチナを国家承認する見込みはない。トランプ大統領は18日、イギリスを訪問した際、イギリスのパレスチナ国家承認をめぐり「数少ない意見の不一致の一つ」と述べ、否定的な姿勢を明確にしている。 ■国家承認の効果は? 「パレスチナ国家承認」はガザ地区の情勢にどう影響するのか。東京大学中東地域研究センターの鈴木特任准教授は、「イスラエルに孤立感を与えていることは間違いない」と述べる一方、「実質的な効果は少ない」と分析する。 「イスラエルに孤立感を与えていることは間違いないが、ネタニヤフ首相は今月15日にも、“孤立主義の尚武国家(軍事力・防衛力を重視し、自らを守る体制を強化する国)となる”ということを示唆した。実際、イスラエルに対する実質的効果は少ないだろう」 また、「国家承認の動きが本格化したのは、フランスによる7月下旬の宣言からだが、その後、イスラエルはガザ地区の最大都市・ガザ市の制圧を決定した。その意味では、(国家承認の流れを受け)ガザ地区への攻勢は強まっていると考えられる」と述べ、国家承認が結果的にガザ地区への攻勢を強めたと分析する。 ■現地の人は イスラエルが地上侵攻しているガザ地区ガザ市から避難を余儀なくされているアラー・サラーマさんは、イギリスなどの国家承認について、「承認したら、今すぐ(今起きている)虐殺を止めることができるのか? 現地の現実を見てほしい」と、強い口調で訴えた。
各国の動きが、戦闘を止めるという実質的な効果につながることが、いま強く求められている。
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日本もパレスチナ国家を承認して、イスラエルのジェノサイドを非難すべきでしょう。

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