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高市早苗首相は初の所信表明演説で、石破政権からの転換と、安倍晋三元首相の路線継承を鮮明にした。「強い経済」や「力強い外交・安全保障」など安倍氏を連想させるフレーズを多用。防衛費増額の前倒し実現で防衛力強化を急ぐ考えも示した。ただ、自民党の派閥裏金事件を受けた政治改革や、目玉政策の財源は多くを語らなかった。 ◇「世界で咲き誇る外交」 24日の衆院本会議場。首相が演説で「世界の真ん中で咲き誇る日本外交を取り戻す」と訴えると、自民議員から大きな拍手が上がった。 「世界の真ん中で咲き誇る」は安倍氏の口癖で、日本保守党の百田尚樹代表との共著のタイトルにも使われている。政府筋によると、首相は「安倍政権のように日本が主導的な外交を展開しなければならない」との思いを込めたという。 経済政策に関し「何を実行するにも『強い経済』をつくることが必要だ」などと、繰り返し「強い経済」に言及。安倍氏の経済政策「アベノミクス」と同様に、積極的な財政出動を打ち出した。安全保障では、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%とする目標達成を「今年度中」に前倒しし、安保関連3文書の来年中の改定も明言した。 安倍氏の宿願だった憲法改正については、自身の首相在任中の国会発議に期待を表明。安倍氏の地元山口県出身で幕末の思想家・吉田松陰の言を引用して地方活性化を重視する考えを示した。 自民が衆参両院選挙に大敗したのは、保守層が離反した影響が大きい。首相には、安倍氏の長期政権を支えた「岩盤支持層」にアピールする狙いがあるとみられる。 ◇財源語らず ふんだんにちりばめた経済政策とは対照的に、「政治とカネ」の問題は「政治への信頼を回復するための改革にも全力で取り組む」と言及しただけ。議場では「事件の全容解明が先だ」と野党議員のやじが飛んだ。 首相は幹事長代行に萩生田光一氏、参院の官房副長官に佐藤啓氏を起用。いずれも裏金関係議員だ。野党は佐藤氏による政府提出法案の説明を拒否した。自民の参院幹部は事前に首相へ懸念を伝えたと明かした上で、「小さなところから大きなつまずきにつながっていく」と警告した。 また、ガソリン税の暫定税率廃止や「年収の壁」のさらなる見直しに向けた議論も打ち出したが、防衛費増額の前倒しも含め財源への言及は乏しかった。「経済成長率の範囲内に債務残高の伸び率を抑え、マーケットの信認を確保する」としており、赤字国債の増発につながる可能性がある。 ◇野党に協力呼び掛け 首相は衆参共に少数与党となった状況を踏まえ、「政権の基本方針と矛盾しない限り、各党からの政策提案を受け柔軟に真摯(しんし)に議論する」と呼び掛けた。 ただ、野党の協力を得られるかは見通せない。立憲民主党の野田佳彦代表は記者団に「政治とカネの問題はけじめがついていないという国民が多い。しっかり言及すべきだった」と問題視。公明党の斉藤鉄夫代表も「政治改革について一言もなかったのにびっくりした。画竜点睛(がりょうてんせい)を欠く思いだ」と語った。野党は外交日程を挟んで11月4~6日に行われる代表質問で、首相を厳しく追及する方針だ。
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強い経済、積極的な財政出動も、具体的に何をしたいのでしょうか。アベノミクス継承も円安の物価高によるインフレ加速で庶民の生活はますます苦しくなり、実質賃金低下では景気の好循環に程遠い。

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