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右肩痛と闘ったプロ生活
今季限りで現役引退を発表していた日本ハムの浦野博司投手(31)が13日、オリックス戦の七回2死から3番手として登板。オリックスの松井佑介外野手(33)に対して3球勝負を挑み、最後は渾身のフォークボールで現役ラストを鮮やかな三振で締めた。度重なる故障と戦いながらの7年間、右腕は万感の思いでユニホームを脱いだ。試合は6ー1で勝利し、先発したルーキー・河野竜生投手(22)が6回1失点にまとめ、8月6日以来の3勝目を挙げた。
「幸せな野球人生だった」
ベンチを飛び出し、マウンドへ走りだす。浦野の目は、もう真っ赤だった。こみ上げる感情を必死に抑え、ワインドアップから快速球を投げ込んだ。1球、2球。悔いを残さぬよう全力で腕を振り抜いた。追い込んでからのウイニングショットは、生命線のフォークを選択。白球は理想通りの軌道を描き、バットは空を切った。 振り返ると、仲間が笑顔で迎えてくれた。もう我慢の限界だった。「支えがあってプロ野球選手でいられた。ファン、監督、コーチ、裏方さん、チームメート。今は感謝の気持ちでいっぱいです」。あふれる思いを言葉に込めた。 社会人セガサミーから2013年ドラフト2位で入団。即戦力の前評判通り、1年目から先発ローテーションの一角に加わった。シーズン7勝を挙げ、ソフトバンクとのCSファイナル第1戦に先発。九回途中3失点の好投は、見る者の胸を打ち、無限の可能性を感じさせた。 実現しなかったが、栗山監督は日本シリーズ第1戦の先発を浦野に伝えていた。指揮官は「うれしさや緊張、責任を押し殺すような何とも言えない表情をしていたね。全身が震えるように喜んでいる印象を受けたよ」と、大役を託した瞬間を懐かしんだ。 果てしない期待を寄せられながら、現役生活はケガとの戦いに明け暮れた。右肩の違和感は、投球を続けるうちに痛みに変わった。チームが日本一に輝いた16年は、ほぼ全ての時間をリハビリに費やした。「本当にもう終わったと思った」。引退の2文字と隣り合わせの日々を過ごし、どん底からはい上がった。 17年5月6日のオリックス戦で2年ぶりに先発し、695日ぶりの復活勝利を飾った。18年には守護神を務めるなど自身最多の36試合に登板。7セーブを挙げ、ブルペンに欠かせぬ存在となった。だが、トップパフォーマンスを維持するのは難しかった。 「野球が本当に好き」。それでも、未練は断ち切った。引き際の美学を胸に、ユニホームを脱ぐ。「『やれるやれる』っていうのは誰もが思うこと。プロ野球は、やらなければいけないところだと思う。それを僕はできなかった。後悔は…ない。幸せな野球人生だった」。球団はチームスタッフとしてのポストを用意する方針。実直な男の熱意は、形を変えてチームに注がれる。(宮西雄太郎)
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渡邉諒と同期入団で、鎌ヶ谷で見ていた頃が懐かしい。
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