熟慮を重ねた結論だった。武田は今季限りで日本ハムのユニホームを脱ぎ、他球団でプレーすることを目指す。
球団との話し合いでは現役引退を勧められたが、あくまでも現役続行にこだわった。現在、2軍本拠地・鎌ケ谷で汗を流す武田は「もちろん、現役を(来季も)やるという前提で練習をしている。今、言えるのはそこまで」と話した。そんなベテランに対し、チームを長年支えた功労者として、球団も本人の意思を尊重する見込みだ。
日本通運から02年ドラフト4巡目で入団した武田は1メートル70の小さな体を大きく使った投球で、ブルペンの柱としてフル回転。通算167セーブ、107ホールドをマークし、06、07年は中継ぎで、09、12年には抑えでリーグ優勝に貢献。特に09年は無敗のままセーブ王に輝くなど、最優秀中継ぎ、最多セーブは3度獲得した。だが、14年から登板数が激減し、15年開幕前には左膝、夏場に右膝を手術するなど故障に悩まされ、守護神も増井に譲る形となっていた。
昨季は2年ぶりに1軍マウンドに復帰。両膝痛が癒えた今季は3年ぶりに開幕1軍入りを果たしたが、7試合で0勝0敗、防御率3・68。チームが開幕序盤から低迷し、積極的に若手を起用する方針にシフトした影響もあり、5月7日に出場選手登録を抹消されて以降は1軍マウンドの機会に恵まれなかった。
中長期的なビジョンを描く球団は、来季も若手を積極的に起用する方針。ただ、武田自身はコンディションの不安が消え、今季2軍では10試合に登板して1勝1敗、防御率3・27。右膝が地面に着くほど低い重心から浮き上がる直球は健在だ。
日本ハム一筋の15年目。北の大地で一時代を築いた小さな守護神の新たな挑戦が、ここから始まる。
◆武田 久(たけだ・ひさし)1978年(昭53)10月14日、徳島県生まれの38歳。生光学園から駒大、日本通運を経て02年ドラフト4巡目で日本ハムに入団。03年6月2日の近鉄戦でプロ初勝利。06年には最優秀中継ぎ投手に輝き、44年ぶりの日本一に貢献した。09年からは抑えを務め、3度のセーブ王を獲得。11年9月29日のソフトバンク戦でパ初の100セーブ&100ホールドも達成。球宴出場6回。1メートル70、73キロ、右投げ左打ち。
(スポニチアネックス)
新たな挑戦を楽しみにしています。
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