阪神の原口文仁内野手(32)が11日、兵庫県西宮市の球団事務所を訪れ、今季取得した国内フリーエージェント(FA)権行使の申請書類を提出した。勝負強い打撃で代打の神様として昨年の日本一などに貢献。球団は宣言残留を認める方針を示しているが、定位置を奪取して走攻守でプレーできる働き場所を目指す。今後はFA宣言選手として14日に公示され、翌15日から他球団との交渉が解禁となる。
野球人生で最も悩んだ。09年ドラフト6位で阪神に入団し、15年目でたどり着いた権利。残留すれば来季もベンチ入りできる可能性は決して低くないだろうし、勝負どころでの1打席が優先的に与えられたかもしれない。しかし、その答えを出そうとした時、必ず押し戻そうとするもう一人の自分がいた。
ポジションを獲りたい。先発出場して4打席に立ちたい。打って、走って、守りたい。ギラついた野球選手の本能を抑えることができなかった。
決して楽なプロ野球人生ではなかった。12年に椎間板性の腰痛を発症して育成契約へ。14年には右肩の関節唇を負傷し、捕手から内野手に転向。19年には大腸がんと診断された。それら全てを乗り越えた今、野球ができる喜びを感じ、グラウンドにたくさん立ちたい気持ちが強くなった。
FA交渉で最優先するのはポジション争いができるチャンスがあるかどうか。現実的には一塁、もしくはDHに限られる。選択肢が多くないのは承知の上だが、長打力と勝負強い打撃を売り込みたい。打者を補強ポイントに挙げる球団から声がかかるのを待ちたい。
自信はある。キャリアハイとなった16年は107試合に出場して・299、11本塁打、46打点をマークした。近年はスタメンから外れ、試合出場も年々減少傾向にあった。今季は52試合の出場だが、CSでは10月13日のファーストSのDeNA戦で9回に上茶谷から左翼席に放った本塁打は豪快だった。
阪神には感謝しかない。いずれも当時の金本監督に見いだされ、掛布2軍監督の打撃指導で開花、矢野監督に信頼され、岡田監督には日本一を経験させてもらった。世界一だと思う虎党の前では「必死のパッチ」「帝京魂」と大声で叫んだ。
阪神からも来季の必要戦力として残留要請されている。チームメートと一緒に藤川新監督のもとV奪回を目指す夢を何度も見た。「家族とも相談してより良い方向にいくようにしたい」と語っていたように、朝起きるたびに心は揺れ動いたが、自身の可能性にチャレンジすることに決めた。FA選手として14日に公示される。15日に他球団との交渉が解禁となる。新しい景色を見にいく。
◇原口 文仁(はらぐち・ふみひと)1992年(平4)3月3日生まれ、埼玉県出身の32歳。帝京高から09年ドラフト6位で捕手として阪神入団。腰痛の影響などで13年から育成契約となり、16年4月に支配下復帰。同年5月は打率・380で月間MVP。18年は代打で球団記録に並ぶシーズン23安打。22年から内野手登録。19年1月に大腸がんを公表。治療しながらプレーを続け、24年1月に完治を報告。1メートル82、95キロ。右投げ右打ち。
〇…原口は今季年俸3100万円(推定)で金銭と人的補償が発生しないCランクとみられ、他球団が獲得する際に障壁は少ない。また5日に対応した嶌村聡球団本部長はFA宣言をした選手の残留を認めるかどうかを問われ、「当然そうです」と容認姿勢を鮮明にしていた。他球団との交渉の結果次第では阪神に残留する可能性が残されている。
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パ・リーグであれば、DHの出場機会も増えるでしょう。
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