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今夏のコメの品薄や価格高騰は、コメを中心にする日本の農業政策の課題を改めて浮き彫りにした。地政学や気候変動などのリスクが高まる中、大災害に見舞われたような深刻な状況下でもなく、ほぼ自給率100%のコメの供給で混乱が生じたことは食料安全保障の確保に向けても不安を残した。今回の問題がコメの価格維持を目的に供給量を抑える旧来型農政の転機ともなりそうだが、目前に迫った自民党総裁選でも大きな争点にならず、その機運は高まらない。 ■再燃する生産調整廃止論 「今回のコメ品薄と価格高騰は昨夏の猛暑による不作や訪日客増加による需要増とされるが、根本的な原因は政府が続ける〝生産調整〟によるコメの供給不足だ」。農産物の供給問題が起きる度に盛り上がる、こうした生産調整の廃止を訴える有識者の主張が、今回もメディアをにぎわした。 政府は平成30年、米価の値崩れを防ぐため国がコメの生産量を調整する減反政策を廃止したが、その後も全国の生産量の目安を提示。生産量を絞り、補助金で飼料用米などへの転作を促し、実質的に減反を続けているとの見方だ。 「政府は毎年の人口減などを考慮し、コメの需要が毎年10万トンずつ減少する前提で生産調整しているため、作況指数が前年並みの100でもコメの生産量は少なくなる」。そう解説するのは、キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹だ。 作況指数が101だった令和5年産のコメ生産量が前年の670万トンから9万トン減少している実態を示し、山下氏は「コメ余りにならないようあらかじめ需要に合わせて生産量を絞っているため、今回のような急激な需要増などの変動には対応しにくい」と問題点を指摘する。 ■価格優先で備蓄米放出せず 食の多様化でコメの1人当たりの消費量は減少が続き、近年はピーク時の半分以下の年間50キロまで落ち込んだ。それに合わせてコメの生産量も昭和42年のピーク時の1445万トンから現在は700万トン以下に半減し、水田も約4割を減反して6割程度の活用に抑えている。現在もコメの生産量を減らすため、水田を麦や大豆などに転作した農家に支払う補助金などに約3000億円の予算を充てている。 生産調整は、米価を安定させることで農家の収益性を向上させるのが目的だ。今回の品薄を受けて大阪府の吉村洋文知事が要請した政府の備蓄米放出を農林水産省が拒否したのも、「供給量が増えることによる米価下落の防止を図った」(山下氏)とみる向きがある。実際、今年のJAグループがコメ生産者に前払いする概算金は、品薄による需給逼迫や資材の高騰などもあり、前年に比べ2~4割上昇。店頭価格もそれに伴い値上がりする見通しだ。
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これまでの農業政策の失敗と卸売業者の便乗値上げでしょう。
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