昭和41年の静岡一家4人殺害事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)に再審無罪を言い渡した26日の静岡地裁判決は、検察側の主要な証拠について捜査機関による「3つの捏造(ねつぞう)」に踏み込んだ。検察官が一部捏造を認識していた可能性も示唆。再審公判でも「袴田さんが犯人」との立場を崩さなかった検察側にとっては全面敗北に近い結果となった。
■「非人道的」
地裁判決が捏造を認定したのは①袴田さんが自白した検察官調書②確定判決で犯行着衣とされた「5点の衣類」③袴田さんの実家で見つかった5点の衣類の端切れ-だ。いずれも「証拠にできない」として、排除した。
袴田さんの取り調べは43年の地裁判決が問題視し、警察と検察が作成した袴田さんの供述調書45通のうち44通を証拠から排除。ほかの証拠から死刑を言い渡している。
再審公判の地裁判決は、最後に残された検察官調書1通についても、警察と検察が連携し「非人道的な取り調べ」で自白を獲得したと認定し、証拠から排除した。
■衣類も排除
検察側にとって最も痛手となったのは、再審公判で最大の争点となった5点の衣類を捏造証拠とされたことだ。
5点の衣類が現場近くのみそタンクで発見されたのは事件から約1年2カ月後の42年8月。袴田さんは41年8月に逮捕された。袴田さんが隠したとすれば、衣類は1年超、みそに漬けられていたことになる。問題は、衣類に付着した血痕に赤みが残っていたことだ。
再審公判への道を開いた昨年3月の東京高裁決定は、1年以上みそに漬けられていれば赤みは消失するはずだとして、捏造の疑いに言及した。
再審公判で検察側は「赤みが残りうる」と主張したが、地裁判決はタンク内の酸素濃度などが色に与える影響を検討。タンク内で衣類を1年以上みそ漬けすれば「血痕は赤みを失う」とした。
では、誰が衣類を隠したのか。地裁は、捜査機関が袴田さんの衣類を入手して隠すことも可能で「血痕を付着させるなど加工した捏造証拠」と認定。高裁決定の「疑い」よりも踏み込んだ。
地裁は、衣類の端切れも捜査機関が持ち込んだ可能性を指摘。端切れが押収された翌日の公判で検察官が冒頭陳述を訂正し、当初パジャマとしていた犯行着衣を5点の衣類に変更したことは、検察官が押収を事前に知っていたことを「推認させる」とまで言及した。(滝口亜希)
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捜査機関や検察官の誰が、どのようにして、証拠をねつ造したか、をきちんと検証すべきでしょう。袴田さんと姉の二人の人生を奪った罪は重いでしょう。
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