官僚の「忖度(そんたく)」が取り沙汰された問題は、税金の無駄遣いをチェックする機関からもごみ撤去費の積算に疑義が突き付けられる見通しとなった。検査院は関連文書の管理にも問題があったとみており、売却に関わった財務省と国土交通省の責任が改めて厳しく問われるとともに、政府に詳しい説明を求める声が強まるのは必至だ。
検査院は詰めの調査を進め、両省への指摘内容を年内にも公表する見通し。
森友学園は二〇一五年五月、財務省近畿財務局と国有地の定期借地契約を締結。その後、国有地の購入を申し出たことから、財務局は地中に埋まっていたごみの撤去費の見積もりを、以前に現場周辺の地下の埋設物を調査していた国交省大阪航空局に依頼した。
学園は「地下九・九メートルまでごみがある」と申告。航空局は詳細に調べ直さないまま、以前の調査を基に、土壌全体の47%にごみが混入しているとみなし、撤去費を約八億二千万円と算出。財務局は一六年六月、この額を評価額の約九億五千万円から値引きし、約一億三千万円で売却した。
検査院が残された資料を検証したところ、47%というデータは、航空局が以前に現場の敷地を掘削した数十ポイントのうち、ごみが出てきた六~七割のポイントの土壌に限っての混入率だった。残る三割以上では、ごみが見つかっていないのに混入率に反映させていなかったという。
検査院が計算し直したところ、混入率は30%程度で撤去費は約二億円にとどまった。別の計算方法でも四億円余りだったという。
ただ、撤去費単価に関する文書や、国と学園とのやりとりの記録は破棄されており、正確な見積もりはできなかった。検査院は文書管理の改善も求めるとみられる。
ごみの撤去費を巡っては、近畿財務局長らを背任容疑で告発した弁護士らのグループが九月、約三億八千四百万円も過大だったとする一級建築士の鑑定書を大阪地検特捜部に提出。特捜部は関係者の立件の可否を慎重に捜査している。
(中日新聞)
破棄した資料を会計検査院は確認しているのだろうか。
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