足取りは軽かった。ZOZOマリンでの全体練習を終えた大谷は、体の状態について「大丈夫です」と言い切った。プロ野球史上66年ぶりの「4番・投手」で124球での完封勝利&2安打のハイパフォーマンスを見せてから3日。フリー打撃には参加せず、キャッチボール、ランニングなどで軽めの調整に終始したが体の張りも取れていた。
今オフにポスティングシステムを利用してメジャー移籍する意思を固めており、9日の楽天戦が事実上の日本ラストゲーム。進路表明していないため言葉を選びながら、大谷は「(東北のファンの方々に)来てもらえるなら直接、良いプレーを見てもらえたらうれしい」と奮起を誓った。コンディションに問題はなく、2軍施設のある千葉・鎌ケ谷で取材に応じた栗山監督も「東北の皆さんに一目でも見てほしい。DHでスタメンでいけるなら考える」と話した。
岩手出身の大谷にとって同じ東北の仙台で迎えるラストゲームは不思議な導きだ。11年3月に東北を襲った東日本大震災後、当時キャスターだった栗山監督が大谷がいた花巻東を訪れたことがあった。指揮官は「まだ震災から長くたっていない。苦しまれている方もいる。翔平と最初に会ったのも、その時だった」と回想した。今や日本を代表するスーパースター。最後の雄姿は、きっと東北の活力になるはずだ。
栗山監督は打順について「何のプランもない。負担をかけないところで、楽に出すことを考える」と話し、状態を見極めながら起用する方針。大谷は「出られる機会があればしっかり結果を出したい」と言った。杜の都で惜別のフルスイングを見せる。 (柳原 直之)
≪「打者・大谷」のメモリアル≫
▽13年3月29日 西武との開幕戦に「8番・右翼」で先発し、岸から5回の第2打席にプロ初安打となる右翼線二塁打。6回には右前適時打で初打点。高卒新人が野手で開幕戦に先発出場するのは東映時代の59年の張本勲以来球団54年ぶり。
▽同7月10日 楽天戦の4回に永井から右翼席中段へプロ初本塁打。通算92打席目。
▽同7月14日 右頬骨(きょうこつ)にひびが入り3試合を欠場後、ロッテ戦の復帰初打席でプロ2号となる代打本塁打。高卒新人の2試合連続アーチは、93年の松井秀喜(巨人)以来20年ぶり。
▽14年3月28日 オリックスとの開幕戦で2安打1打点。史上初となる高卒2年連続開幕戦マルチ安打を達成。
▽同9月7日 オリックス戦で10号本塁打を放ち、1918年のベーブ・ルース(レッドソックス)以来の「2桁勝利&2桁本塁打」を達成。
▽16年5月17日 ソフトバンク戦で野手出場5試合連続本塁打。21歳10カ月での5戦連発は史上最年少記録。
▽同7月3日 ソフトバンク戦に「1番・投手」で出場し、初回の初球に10号アーチを放つ。投手の先頭打者弾は史上初。
(スポニチアネックス)
有終の美を楽しもう。
0 件のコメント:
コメントを投稿