生々しい、値引き交渉のやりとり。
籠池夫妻逮捕から一夜。
森友学園をめぐる問題の、そもそもの発端は、鑑定価格9億6,000万円の国有地が、8億円以上値引きされ、1億3,400万円で籠池容疑者側に売却された問題。
FNNが入手した、籠池容疑者と近畿財務局の担当者の会話から、売却価格が事前に決まっていた可能性が浮上した。
近畿財務局・池田 靖前国有財産統括官は、駆け寄った記者に対し「お答えできないです」と話した。
費用をめぐるきっかけは、2015年、籠池容疑者側が小学校建設地である国有地の地下から出てきたごみを、およそ1億3,200万円かけて撤去。
この費用相当額を、国が2016年4月、有益費として、籠池容疑者側に支払ったことから始まる。
今回入手した音声は、その1カ月後の2016年5月、籠池容疑者と国側の近畿財務局・池田前国有財産統括官とみられる人物が、国有地売却価格をめぐり、値下げ交渉をしている様子を収録したもの。
(2016年5月のやりとり)
池田 靖国有財産統括官(当時)「理事長がおっしゃられている『0円に近い』というのが、どういうふうにお考えになられているのか、売り払い価格が0円ということなのかなとは思うんですけど、私ども、以前から申し上げているのは、『有益費』の1億3,000万円という数字を、国費として払っているので」
諄子容疑者「それは当たり前やん」
池田 靖国有財産統括官(当時)「その分の金額ぐらいは、少なくとも売り払い価格は出てくる、と。そこは何とかご理解いただきたい」
会話からは、籠池容疑者側が国有地をただで得ようとするも、国側は有益費1億3,200万円は下回れないと主張している内容がうかがえる。
すると。
(2016年5月のやりとり)
籠池泰典容疑者「1億3,000万円がうんぬんというよりも、ぐーんと下げていかなあかんよ」
池田 靖国有財産統括官(当時)「理事長がおっしゃる0円に近い金額まで、私はできるだけ努力する作業を、今やっています。だけど、1億3,000万円を下回る金額にはなりません。
諄子容疑者「そらおかしいわ」
具体的な金額が飛び交う交渉。
この音声が記録されたのは、国側が依頼した不動産鑑定士が、国有地の鑑定価格を9億6,000万円と査定する、1週間ほど前。
つまり「答えありき」で売買交渉が行われていたことがうかがえる。
そもそも、なぜ籠池容疑者が、ここまで値下げを強く要求できるのか。
その強気の訳は、さらに2カ月前の2016年3月、敷地内から「新たなごみ」が見つかったことが理由とみられる。
そのころの音声データも残っていた。
(2016年3月のやりとり)
籠池泰典容疑者「反省してるの?」
池田 靖国有財産統括官(当時)「僕ですか?」
籠池泰典容疑者「反省してないんだったら、『わたしはそんなつもりじゃありませんでしたから』で終わっちゃうんだけど? 民間企業なら、頭下げて『申し訳ございませんでした』って言うやつよ」
厳しい口調で詰め寄る、籠池容疑者。
(2016年3月のやりとり)
同席した大阪航空局「今回出てきた産業廃棄物というものは、国の方に『瑕疵(かし)』があることが判断されますので、その撤去については、国の方でやりたい」
責任を認めた国側は、この1カ月後の4月に、撤去費用を8億2,000万円と算出。
そして5月31日、国側が国有地の鑑定価格を9億6,000万円と査定。
結局、当初のごみの撤去費用1億3,200万円を、わずか200万円上回る、1億3,400万円で契約が成立した。
これまで国側は、土地の売却額について「土地の鑑定価格から新たに見つかったごみの撤去費用を引いた額」としていた。
しかし、今回の音声データからは、事前に調整をして、国が支払った有益費1億3,000万円と同額程度という売却価格ありきで、8億円の値引きは「つじつま合わせ」だった可能性が。
近畿財務局・池田 靖前国有財産統括官は「(森友学園に売却された価格は、有益費1億3,000万円を回収するための金額?)お答えはできません」と話した。
菅官房長官は「(8億円の減額は、つじつま合わせだった疑いとも読み取れる。事実関係は?)現在捜査中ですので、政府としてコメントすることは控えたい」と述べた。
大阪地方検察庁は、すでに近畿財務局の職員らによる背任の疑いについても告発状を受理していて、どのような経緯で売却価格が決まったのか、慎重に捜査している。
(フジテレビニュース)
背任容疑で真実が明らかになるだろうか。