歴代長官が就任会見で抱負を述べるのは慣例で、会見を実施しないのは極めて異例。同庁は「諸般の事情を考慮した組織の判断」と説明するにとどめ、詳しい理由を明らかにしていない。
佐川長官は先の国会で、担当局長として学校法人「森友学園」(大阪市)への国有地格安払い下げ問題について答弁。学園側との交渉経緯などを野党に追及された際、「記録は廃棄した」「確認は控える」との「ゼロ回答」を繰り返し、説明責任を果たしていないと批判を浴びた。
同庁は就任会見を開かない代わりに、「伝統ある国税の職場で働くことを光栄に思う」とした長官コメントを文書で公表した。国税関係者は「会見を開くことで、森友問題を再び追及されるリスクを懸念したのではないか」と話した。
同庁歴代長官の就任会見は少なくとも最近十数年は行われており、佐川氏の長官就任以来、記者クラブも再三、会見実施を申し入れていた。
佐川氏は福島県出身で1982年に大蔵省に入省。国税庁次長、関税局長などを歴任し、7月5日付で国税庁長官に就任した。野党からは当時、「疑惑隠しに貢献した官僚が出世する構図」(小池晃共産党書記局長)と反発の声が上がった。
(時事通信)
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