配信
1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)で一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定した袴田巌さん(88)に対し、検察側は22日、静岡地裁で開かれたやり直しの裁判(再審)で、確定審に続いて再び死刑を求刑した。弁護側は「証拠は捏造(ねつぞう)、無罪は明白」と改めて訴え、結審した。国井恒志裁判長は判決期日を9月26日に指定した。 死刑囚に対する再審公判での死刑求刑は戦後5件目。過去の4件はいずれも無罪判決が言い渡されており、袴田さんの再審も無罪とされる公算が大きい。 検察側は論告で「多くの証拠が(袴田さんが)犯人だと指し示している。4人の将来が一瞬にして奪われ、犯行は冷酷、残忍だ」と死刑求刑の理由を述べた。 これに対し、心神喪失の状態にあるとされた袴田さんの代わりに出廷した姉秀子さん(91)は、審理の最後に「巌はいまだに妄想の世界にいる。どうか、巌を人間らしく過ごさせていただけますようにお願いします」と意見陳述した。 再審公判では、確定判決で犯行時の着衣とされた「5点の衣類」が、袴田さんのものと言えるかが最大の争点となった。衣類は事件から約1年2カ月後、袴田さんが勤務していたみそ工場のみそタンク内から見つかり、血痕が付着していた。血痕には赤みが残っていたとされる。 5点の衣類を袴田さんが逮捕前に隠したとすれば、1年以上みそ漬けされていたことになる。弁護側は法医学者の見解や弁護側が実施した再現実験に基づき、化学反応で血痕の赤みは消失すると主張。「赤みが残っていたことは捜査機関が5点の衣類を捏造したことを示している」と訴えた。 検察側は、独自の実験や専門家の意見書によれば、みそタンク内の酸素濃度は低く、長期間みそ漬けされたとしても赤みが残ることはあるとした。証拠の捏造の指摘には「合理的な根拠がなく、非現実的で実行不可能な空論だ」と反論。「事実を精査し、真実を明らかにしてほしい」とする、事件で殺害された遺族の意見陳述書も読み上げた。 閉廷後、記者会見した秀子さんは「(事件から)58年、大変長かった。巌は無罪だと思っている」と話した。静岡地検の小長光健史次席検事は取材に「(袴田さんが)有罪であることは十分立証できた」と語った。【井口慎太郎、丘絢太】
**************************************************************
当時の警察による証拠の捏造は、日常茶飯事だったのでしょうか。無実の者の死刑判決は恐ろしい。
0 件のコメント:
コメントを投稿