政府は訪日客向けに消費税を免除する制度の見直しを検討している。免税価格で土産品などを購入し、日本国内で転売して利ざやを稼ぐ不正行為が相次いでいるためだ。不正対策として、消費税込みで商品を購入してもらい、出国時に消費税分を払い戻す還付方式の導入を目指しており、令和7年度税制改正に盛り込みたい考えだ。 現行の免税制度は、訪日客が家電や化粧品などを免税店で購入して出国する場合は原則として消費税はかからないが、日本滞在中に転売するための購入は免税の対象外となる。 ■クレジットカードや電子決済での支払いも 免税制度を利用する際は旅券(パスポート)に購入データを電子的に記録し、出国時に税関でパスポートを提示する必要があるが、実際は提示せずに出国するケースも多いという。 そこで政府は訪日客にいったん消費税を含めた代金を支払ってもらい、出国時に税金を還付する後払い案を軸に制度を見直す方向だ。現金のほか、クレジットカードや各国で使用している電子決済での支払いなども検討しており、今後詳細を詰める。 後払い方式の免税制度はドイツやフランスなどでも取り入れられており、不正防止に一定の効果が見込まれる。 免税制度を利用した転売目的とみられる行為は後を絶たない。4年度に免税制度を利用して1億円以上購入した外国人57人に税関が検査した結果、実際に品物の所持が確認できたのは1人のみ。残る56人に消費税の支払いを求めたが、55人は未納のまま出国した。 ■アイフォーンを大量に免税購入 4年12月には米アップルの日本法人「アップルジャパン」が、税務調査により2年間で計約140億円の消費税を追徴課税されたことが判明。アップルジャパン運営の「アップルストア」店舗で中国からの訪日客らがスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」を大量に免税購入していたことが発覚し、1人で数百台購入したケースもあったという。 政府は5年末に閣議決定した6年度税制改正大綱で、現行の免税制度の見直しを打ち出した。7年度税制改正で結論を得る方向で、今後は訪日客の利便性や空港の混雑防止などに配慮しながら議論を進めていく。
中央大学法科大学院の酒井克彦教授は「今の免税制度はあまりにも性善説に基づいており、旅行者の体を成して不正を働く人に成功体験を与えた」と指摘。「早期に実効性ある仕組みに切り替えるべきだ」と語った。(今仲信博)
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免税制度悪用の転売防止のために、後払いは有効でしょう。
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