中国政府と取引関係にあるIT企業(本社・上海)が、X(旧ツイッター)のアカウントを通じて、世論工作を仕掛けるシステムを開発した疑いがあることがわかった。このシステムを紹介する営業用資料とみられる文書がインターネットに流出していた。日本の情報機関も入手して本物とみて分析を進めており、中国の対外世論工作との関連を詳しく調べている。
ネットに流出した文書は約20ページで、上海に拠点を置く「安洵信息技術有限公司」のものとみられる。2月中旬、同社の別の内部資料とされる約580ファイルとともに、IT技術者らがネット上で情報を共有するサービス「ギットハブ」に公開された。
読売新聞が入手した文書には、表紙に中国語で<ツイッター世論誘導統制システム 製品紹介資料>という題名と、2022年の第1版であることが書かれている。システムの目的は中国国外の世論を監視し、工作を仕掛けることとし、冒頭には<好ましくない反動的な世論を検知するニーズに応えるためにシステムを構築した><社会の安定には、公安機関が世論をコントロールすることが極めて重要>などと示している。
文書などによると、このシステムを使って他人のXのアカウントに不正URLを送信し、クリックさせることでアカウントを乗っ取ることができる。その結果、本来は外部から閲覧できないダイレクトメッセージを盗み見たり、中国当局の意に沿った意見を勝手に投稿したりすることが可能になる。
日本政府関係者によると、近年、他人に乗っ取られたとみられるXのアカウントが、中国語や日本語で中国の反体制派を批判するケースが相次いでいる。こうしたシステムが使われている可能性がある。
同社のホームページ(現在は閉鎖)によると、同社は2010年に設立され、北京や四川、江蘇、浙江省に拠点がある。スパイの摘発などを行う国家安全省にIT製品を納入する業者に選定されたほか、国全体の治安維持にあたる公安省や、地方警察の公安当局を「パートナー」として紹介。各機関から贈られた感謝状も掲載していた。
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体制維持のためには、何でもありでしょう。
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