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仙台市バスの車内で、泣く子を連れた母親が高齢男性に「うるさい」と怒鳴られ、途中下車した-。目撃した女性は何もできず、本紙朝刊「声の交差点」に後悔の思いを寄せた。この投稿には共感や励ましを中心に、さまざまな反響が相次いだ。女性は「親子連れが肩身の狭い思いをしない社会になってほしい」と願う。 (生活文化部・菊池春子、柏葉竜) ■「自分も同じような経験」「自分を責めないで」 「どうすればよかったのか。今も無力感を覚える」。宮城野区のパート手嶋悠(はるか)さん(36)が胸中を明かす。 7月上旬、仕事帰りにJR仙台駅前発の市バスに乗った。途中から幼い姉妹と母親が乗車し、妹はぐずって泣いていた。懸命にあやす母親に、近くに座っていた70代くらいの男性が「うるさい、静かにさせろ」と怒鳴った。母親は涙声で男性に「すみません、次で降りますから」と言い、目的地より前とみられる停留所で下車した。 自分も乗客も何も言えず黙っていた。運転手も無言。「ぐずっている子にシールでもあげて、なだめられたら違っただろうか」。あの日以来、キャラクターの付いたふせんを手帳にしのばせている。 手嶋さんの投稿に対し、「自分も同じような経験をした」との声を寄せたのは宮城野区のパート谷川由華さん(38)。スーパーでの買い物中、当時2歳だった長男がぐずって泣きやまず、年配の男性に「うるさいんだよ」と怒鳴られた。買い物を中断して店を出た。「今もトラウマ(精神的な傷)」という。 夫も一緒に外出している時は、嫌な目に遭うことは少ないという。谷川さんは「なぜ怒鳴るのか。育児は母親がするものという意識があるのかもしれない」と考える。 ■「我慢の限界だったのでは」「事業者の責任は?」 このほか「自分を責めないで」と母親を励ます投稿があった。バスの男性がどんな心境だったのかは分からない。年配の女性からは「最近はしつけがなっていない母親が多い。怒鳴った男性は我慢の限界だったのでは」との声が寄せられた。 事業者側の対応を問う声もあった。市交通局の担当者は「乗務員は安全運転に集中し、乗客スペースの状況が分からないことがある」とした上で「車内で気になることがあれば乗務員に申し出てほしい」と語る。ただ、投稿のケースに対応するマニュアルは特にないという。 「子どもたちが騒いでも、元気でいいねえ、と笑顔を向けてくれる高齢者がいる」(谷川さん)。「親子連れに席を譲ってください、とアナウンスする運転手もいる」(手嶋さん)。世代や個人で考え方に差があるとしても「お互いに折り合える方法はないのか」と2人は問い続ける。 [東北福祉大総合福祉学部の清水冬樹准教授(社会福祉学)の話]怒鳴る側には「子育ては母親が担う」という性役割への固定観念があるのでは。子育てする人の萎縮につながる。地域で多様な世代が交わる機会が減り、「子どもは泣くし、走り回るもの」という認識を共有できなくなっている。育児をする父親の姿を可視化させたり、地域の大人と子どもがつながる仕掛けをつくったりすることが必要だ。
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まわりの乗客が守ってあげないとダメなのでしょう。
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