東証1部上場の音響機器メーカー「フォスター電機」(東京都昭島市)が、東京国税局から2013年3月期までの3年間で約9億円の所得隠しを指摘されたことが分かった。海外の子会社への同額の資金援助について、制度上費用計上が許される「価格調整金」として申告したが寄付金と認定され課税対象と判断された模様だ。申告漏れ総額は約10億円で、重加算税を含む法人税の追徴税額は約3億円。フォスター電機は既に修正申告し納税した。
価格調整金は、海外子会社との取引価格を事後的に変更するために親会社が支払う。一定の条件を満たせば費用計上を許される。
同社や関係者によると、問題となったのは12年3月期にフォスター電機がベトナムの子会社に支出した約9億円。レアアースの価格高騰で子会社の経営状態が悪化した12年3月30日付で覚書を交わし、決算期末に当たる翌31日、子会社に価格調整金を請求させた。
しかし、その後の調査で、覚書は12年4月に作成されたことが判明。子会社に利益を移し、親会社の所得が圧縮された形になっていた。同国税局は、約9億円の支出は子会社の赤字計上を避けるための利益の付け替えで、仮装隠蔽(いんぺい)行為に当たり、損金算入できない寄付金と認定した模様だ。
フォスター電機は「覚書の押印日が4月にずれ込んだだけで仮装する意図はなかった。指摘を受け入れて修正申告した」としている。【太田誠一】
(毎日新聞)
移転価格税制の価格調整金のお話なんですが、難しいニュースです。
移転価格税制とは、日本の親会社と上記のベトナム子会社との取引において、不当に安く販売して、親会社の利益が、子会社の利益として移転したら、不当な利益分を親会社の所得として課税する制度です。海外子会社への寄付金を損金にしないのと同じ考え方です。
仮に、ベトナムの法人税が安ければ、親会社の利益を意図的に少なくして、租税回避ができます。
昔、米国に、この移転価格税制でやられたのが、話題になりました。国同士の税金の取り合いみたいな側面もあります。自動車関連だったか、米国の子会社の利益が少ないとして、子会社の所得認定がなされた。ただし、日本の親会社は、税額控除できます。
価格調整金とは、ベトナム子会社の業績悪化により、取引価格を事後的に調整して支払い、経済的な合理性があれば、費用にできる。
この価格調整金の覚書が3月30日だったが、実際には翌4月に作成したとして、所得隠しとして認定されたニュースです。
赤字の子会社を利用して、利益の付け替えを画策したのでしょうか。
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