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◇4日 競泳日本選手権(東京アクアティクスセンター) 競泳の東京五輪代表選考会を兼ねた日本選手権2日目が4日、東京アクアティクスセンターであり、女子100メートルバタフライ決勝では白血病から復帰した池江璃花子(20)=ルネサンス=が57秒77で優勝。400メートルメドレーリレーの派遣標準記録(57秒92)を突破し、リレーメンバーとしての東京五輪代表入りを決めた。男子100メートル平泳ぎで優勝した佐藤翔馬(20)=東京SC=もメドレーリレーでの代表入りが決定。女子400メートル自由形では優勝した小堀倭加(20)=セントラル戸塚=と2位の難波実夢(18)=MGニッシン=は個人での派遣標準記録を突破し、五輪切符を獲得した。 ◇ ◇ ◇ 電光掲示板を確認した池江の目にみるみる涙があふれた。「今までのつらかったことが、あの一瞬ですごく思い出された。ここまで戻ってこられたんだと」。感情を整理するように時間を置いてプールサイドへ上がると、また顔を覆った。代表を争ったライバルたちが、悔しさを脇に置いて次々と池江を祝福した。 2月末の東京都オープンでのタイムは59秒44。バタフライは体力の消耗が激しく、池江自身も「この種目で戦えるようになるのは先のこと」と苦戦を覚悟していた。3日の予選、準決勝と泳ぐたびにタイムは縮めた。それでも五輪切符は難しいのでは、それが大方の見方だった。 予想を覆したのは天才肌の勝負眼だ。決勝では、準決勝まで苦しんだターンを「スタートからのドルフィンキックの数を変える」ことで調整。後半に向けて体力を温存する策も的中し、残り25メートル付近でトップに立ち、タイムも57秒台まで引き上げた。「何が起こったのか。気持ちの整理がつかない」。神懸かり的なレースだった。 この2年間の歩みは苦難に満ちていた。女子自由形とバタフライで次々と日本記録を塗り替え、東京五輪の主役と目された天才スイマーが白血病を公表したのは2019年2月。長い闘病生活に入った池江にとって、五輪どころか、人生そのものが根底から揺らいだ。 20年3月にプールに戻った時点で体重は約15キロ減。スタート台から満足に飛び込むことができず、チームメートと練習すると、「誰にも勝てなかった」と池江は言う。 東京五輪は1年延期となったが、池江は「これからが第2の競技人生。目標は2024年パリ五輪」と明言。「まず3食をしっかり食べること」(西崎勇コーチ)から始めた地道な復活への歩みが、一度は諦めた東京五輪を現実にした。 16歳で出場した16年リオデジャネイロ五輪では、100メートルバタフライで5位。2度目の五輪へ、池江は「このタイムでは世界と戦えない。さらに高みを目指す」と貪欲に語る。新型コロナウイルスに揺れる東京五輪に、大病を乗り越えた20歳が目に見えない力を吹き込みそうだ。
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池江の復活で東京五輪が盛り上がるだろう。
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