◇パ・リーグ 日本ハム4-3ソフトバンク(2021年4月28日 ペイペイD) 日本ハムのドラフト1位右腕・伊藤大海投手(23)が28日、敵地でのソフトバンク戦で6回4安打無失点の好投。プロ5試合目の登板でうれしいプロ初勝利を挙げた。持ち味の奪三振はプロ最少の3にとどまったが、安定した投球を展開。球団初の道産子ドラ1右腕が、チームの3連勝に貢献した。 遅かったなんて思わない。回り道したとも思っていない。プロ5試合目にしてつかんだ初勝利を、伊藤はしっかりかみしめた。 「ホッとしたというのが一番。でも、うれしいです」。本音だろう。プロ初登板から1カ月。7回3失点だった前回21日は、9回2死から抑えの杉浦が痛打され逆転サヨナラ負けを喫した。この日も最終回に1点差まで迫られた。ようやく手にしたウイニングボール。「今までごめんな」。栗山監督からのひと言が、全てを物語っていた。 過去4試合は全てクオリティースタート(6回以上、自責点3点以下)。23回連続奪三振の新人タイ記録もつくった。それでも遠い白星。そんな中、栗山監督に言われた「4勝分の仕事をしてくれている。野球の神様は見てるから」という言葉を胸に、伊藤は華麗に変身した。 前回21日のロッテ戦でスライダーが全投球の約40%を占めた。「多投し過ぎている」と分析。強打のソフトバンク打線がコンパクトに振ってきているのも感じ取った。「普段と配球を変えた」。宝刀スライダーの割合を下げてスプリット、カットボール、100キロ台のカーブまで織り交ぜた。6回4安打無失点。三振は今季最少の3個でも、7日に逆転負けを喫して悔し涙したソフトバンク打線を封じた。 遅れて来た春も、伊藤にとって回り道ではない。プロ野球選手という夢をかなえるため入学した駒大を1年で中退。北海道に戻るとき、母・正美さんをこう説得した。「夢を諦めるんじゃなくて、夢をかなえるための決断だから」。地元の苫小牧駒大(現北洋大)に入学し、連盟規定で1年間公式戦出場ができなくても黙々と練習した。あのときと同じだ。過去4試合を無駄にせず、勝つために三振を捨て、丁寧にアウトを重ねた。 今年、おみくじを何度引いても「末吉」だった。最初は苦しくても、いずれいいことがあるのが「末吉」。その通りになった。「ここからがスタート。ウイニングボールは母親に贈りたい」。伊藤はそう言うと、ようやく安堵(あんど)の笑みをのぞかせた。(秋村 誠人) ◆伊藤 大海(いとう・ひろみ)1997年(平9)8月31日生まれ、北海道鹿部町出身の23歳。鹿部小2年から野球を始め、駒大苫小牧では2年春に甲子園出場。卒業後は駒大に進学したが、同年10月に中退。17年に苫小牧駒大に再入学した。1年時は規定で出場できず、2年春に北海道六大学リーグ初登板。4年秋は防御率0・55で最高殊勲選手に輝いた。2、3年時に大学日本代表入り。1メートル76、82キロ。右投げ左打ち。趣味は釣り。
▼日本ハム・栗山監督(伊藤の初勝利に)よかった、本当に。調子はよく見えなかったけど、打者を見て、よく考えて配球して。本当にレベルが高い。勝たせてやれてホッとしてる。
*********************************************************
最後がヒヤヒヤものでしたが、勝ててよかった。
0 件のコメント:
コメントを投稿