新型コロナウイルス対応に窮する菅義偉首相が3回目の緊急事態宣言に追い込まれた。前回の宣言解除からわずか1カ月の発令は大きな誤算。短期集中で局面打開を目指すが、封じ込めに失敗すれば経済への打撃は一段と深刻になり、東京五輪・パラリンピック開催も危うくなる。頼みのワクチン接種が思うように進まず、収束への道筋は見通せない。
◇想定外 「厳しい闘いにも必ず終わりが見えてくると確信している。首相としてできることは全て全力を尽くしてやり抜く」。首相は23日の記者会見で、「コロナ危機」克服への決意を示した。 首相は経済の停滞を招く緊急事態宣言にかねてより慎重な立場。3月22日の全面解除後は宣言に準じた「まん延防止等重点措置」を適用して感染拡大を抑えつつ、ワクチン接種を進めることで乗り切るシナリオを描いた。重点措置下でも営業時間短縮の要請・命令など知事に一定の権限が与えられるため、「事実上の緊急事態宣言」(首相周辺)と見る向きもあった。 だが、大都市部で目に見える効果は上がらず、大阪では新規感染者数が1000人超で高止まりした。要因として感染力の強い変異ウイルスの流行が挙げられ、府は今月5日の重点措置適用から半月で宣言発令を国に要請。同様に感染拡大が続く東京都、京都府、兵庫県が一斉に続いた。 これに慌てたのが政府側。想定外の早い展開に、緊急事態宣言の準備ができていなかったためだ。4都府県の要請が出そろった21日夜、政府関係者は「感染対策、事業者支援策、発令期間、何も決まっていない」と頭を抱えた。首相は22日、重点措置のどこが不十分だったか記者団に問われ、「まだ検証していない」と明かした。 ◇折衷策 今回の宣言に伴う対策では、酒類を提供する飲食店に休業を要請するなど以前より強い措置を打ち出した。路上・公園での飲酒防止にも取り組むとし、与党内から「禁酒法だ」との声も漏れた。 発令期間をめぐっては政府内で意見が割れた。加藤勝信官房長官や田村憲久厚生労働相は、対策の効果が出るのは2週間後とされる点を踏まえて「3週間」を求めた。 これに対し、経済活動の停滞を懸念する首相は「2週間」にとどめるよう主張。周辺には「できるだけ短くしたい」と語った。最終的に折り合ったのは「17日間」。双方が同程度歩み寄ったことになる。 首相が「短期決戦」に傾いた理由として、7月23日に開幕が迫る五輪への影響を避けたいとの思いがあるのは間違いない。五輪成功は安倍晋三前首相から託された最重要課題であり、今後の政権運営にも「追い風になる」(自民党幹部)とみられている。最近も首相は「絶対に開く」と強気な姿勢を周囲に示した。 ◇延長含み もっとも、首相が「切り札」と位置付けるワクチン接種が本格化するのは大型連休後。変異ウイルスは東京でも拡大しており、予定通り5月11日までで宣言を解除できるか不透明な情勢だ。 今年1月発令の2回目の宣言は全面解除まで2度延長した。今回、政府は「延長を前提としていない」(高官)と説明するが、国民に広がる「自粛疲れ」や「コロナ慣れ」もあり、期待する効果が出ない事態も予想される。23日の政府の基本的対処方針分科会に出席した専門家の一人は「(深刻度が上から2番目の)ステージ3にならないなら解除はあり得ない」と明言した。
「感染がこれ以上広がる状況は考えないようにしている」。首相官邸の関係者からはこんな声も漏れている。
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宣言の早期解除は難しく、東京五輪も不透明な状況だろう。感染対策よりも、五輪をしたいための宣言でしょうか。
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