首都圏3県と愛知県に新型コロナウイルス対策の「まん延防止等重点措置」を適用することが決まった。
適用は計10都府県で、感染の「第4波」到来が鮮明となった格好だ。ただ、重点措置の効果は見通せず、先行する大阪府は状況がさらに悪化。米国訪問で菅義偉首相不在の中、緊急事態「再々宣言」発令が現実味を帯びている。
緊急事態宣言は先月21日をもって全面解除。その期間中も各地で人出の増加や感染力の強い変異ウイルスの広がりが見られ、今月5日に大阪、兵庫、宮城、12日に東京、京都、沖縄の計6都府県と立て続けに重点措置が適用された。さらに今回、埼玉、千葉、神奈川、愛知4県を追加。この間、わずか10日余りという急激な変化だ。
新型コロナ対策分科会の尾身茂会長は14日、現状について「『第4波』と言って差し支えない」と明言。一方、首相は同じ日の答弁で「現時点で全国的な大きなうねりとまではなっていない」と述べ、食い違いを見せた。その後も各地で感染は増加。さすがに首相周辺も「全国的なまん延状態となりつつある」と認める。
特に大阪では、昨年末から年明けを中心とした「第3波」を大きく上回る過去最多の新規感染者を連日更新。重症患者の病床が埋まり、一般の手術延期なども要請される事態に陥っている。
厚生労働省などでは、このまま感染拡大が続けば大阪の医療提供体制が持ちこたえられるのは「来週後半まで」との分析もある。16日の基本的対処方針分科会では、専門家から大阪への緊急事態宣言発令を求める意見が相次ぎ、危機感は強まっている。
こうした声を受け、3度目の宣言に慎重な政府内にも変化が生じ始めた。専門家の意見に近いとされる西村康稔経済再生担当相は16日の参院議院運営委員会で「国民の命を守るために必要となれば緊急事態宣言もちゅうちょすべきではない」と踏み込んだ。
大阪だけではない。東京でも変異ウイルスの置き換わりが一層進み、感染爆発への懸念が広がる。重点措置対象外の福岡県も感染拡大の兆しがある。「大都市部の感染拡大が来週も続けば、あらゆる対策を考えなければいけない」。別の首相周辺はこう語り、宣言発令に踏み切れば飲食店以外の業種を含む休業要請などもあり得るとの見方を示す。
「第4波」の推移次第では、夏の東京五輪・パラリンピック開催への影響も避けられない。自民党の二階俊博幹事長は15日、五輪中止の可能性に言及。政権を支える党幹部の発言は異例だ。
開催に当たっては参加選手の感染対策に当たる医療従事者を確保する必要がある。ただ、急増する新型コロナ患者の治療、先進国と比べて出遅れたワクチン接種で既に人手は不足状態だ。今のところ両立を図るのは困難な状況で、政府は難しい課題を抱える。
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この難局を乗り切るには、休業要請で外出禁止でしょう。
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