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林芳正外相と中国の秦剛(しんごう)国務委員兼外相は2日、北京で会談した。林氏は3月に北京でアステラス製薬社員の日本人男性が中国当局に拘束された問題について抗議し、早期解放を要求した。一方、秦氏は、米国の要請を受けた日本が中国を念頭に先端半導体製造装置の輸出規制を強化する方針を発表したことについて「悪人の手先になるべきではない」と批判した。「建設的かつ安定的な日中関係」の構築を目指すことでは一致する両国。だが米中対立が深刻化する中で、他にも対立点は多く、この日の会談でも立場の違いが浮き彫りになった。 日本の外相の訪中は2019年12月以来、約3年3カ月ぶり。林氏が22年12月に就任した秦氏と対面で会談するのは初めて。秦氏は冒頭、「交流と意思疎通を強め、両国関係を前進させたい」と強調した。林氏は「率直なやり取りをしたい」と応じた。会談は約3時間にわたり、首脳レベルも含め緊密な意思疎通を続けることを確認。また日韓関係の悪化を受けて19年以来開かれていない日中韓3カ国の首脳会談の再開に向けて協力を進めることで一致した。 林氏は続いて、中国共産党序列2位の李強(りきょう)首相、外交トップの王毅党政治局員とも個別に面会した。李氏は冒頭、「共に関心を持っている問題について議論し、意思疎通と協力を強化していきたい」と強調した。 他方で、林氏と秦氏の間では、多くの課題で双方の主張が平行線をたどったとみられる。林氏は、沖縄県・尖閣諸島を含む東シナ海など日本周辺での中国軍による活動の活発化について深刻な懸念を表明。香港や新疆ウイグル自治区などにおける人権問題についても秦氏に懸念を伝えた。ウクライナ問題では、ロシアとの接近を強める中国に対し、国際社会の平和と安全を維持するために責任ある役割を果たすよう求めた。 秦氏は日本人拘束の問題で「法に基づき処理している」と述べるにとどめる一方で、林氏に多くの注文をつけた。中国外務省の発表によると、秦氏は「日本は台湾問題に手を出してはならない」と警告。「意見の違いや対立に対して、徒党を組んだり、大声を上げて圧迫したりすることは問題解決の助けにならない」と述べ、日本がインド太平洋地域で米欧と連携を深めることを強くけん制した。また、5月に広島で開催される主要7カ国(G7)首脳会議について「日本はG7の一員だが、それ以上にアジアの一員だ。(首脳)会議を、地域の平和と安定に資する方向に導くべきだ」と訴えた。共同声明などに強い中国批判を盛り込まないよう求めた形だ。 東京電力福島第1原発の処理水を巡っても応酬があった。林氏は、科学的根拠に基づかない対外発信をしているとして抗議。秦氏は「汚染水の海洋放出は人類の健康と安全に関わる重大な問題だ。日本は責任を持って処理すべきだ」と反発した。【北京・米村耕一】
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中国の覇権主義などの行動を見ていると、建設的かつ安定的な日中関係の構築は、不可能でしょう。
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