「ヨシダにとって貴重な一球であることを理解してもらうしかない」
去る4月3日(現地)に行なわれたピッツバーグ・パイレーツ戦で飛び出した吉田正尚(ボストン・レッドソックス)のメジャー移籍後初アーチは多くの賛辞を受けるとともに、あらぬ方向へと話題が転じている。 メジャーリーグ名物とも言える“怪物”を越える一発だった。 初回に1死二塁の好機で第1打席に立った吉田は、相手右腕のヨハン・オビエドがカウント1-0から投じた外角高めの4シームを強振。高々と上がった打球はぐんぐんと飛距離を伸ばし、フェンウェイ・パークのレフトにそびえ立つ「グリーンモンスター」(高さ11.33メートルのフェンス)を越える特大アーチとなった。 吉田にとっては嬉しいメジャー初ホームランとなった。がしかし、試合後に話題となったのは、ボールの所有権をめぐる話し合いだった。最終的に記念球を手にした家族が、「子どもと訪れた最初の試合だった」という理由から球団への返却を拒んだのである。 もっとも、ファンに返却義務はないため、拒否自体はルール違反には該当しない。しかし、吉田にとっての最初で最後のメモリアルなボールであったために、周囲(とくにレッドソックス・ファン)から家族の決断に対する反発の声が上がった。 さまざまな異論が噴出したなかで、最も目立ったのは「モラル」を問う声だ。そのなかには、先のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)における日本人ファンの振る舞いが脚光を浴びた。 ボストンのスポーツ情報やマーケティングに関するニュースを発信する米サイト『Lost In Boston Sports』のトーマス・カッリエリ記者は「日本人はショウヘイ・オオタニがWBCで初めてホームランを打ったとき、外野席全体にボールをまわして、みんなで記念撮影をしてボールをもとに戻した」とし、WBC1次ラウンドのオーストラリア戦で見られた東京ドームでの一コマを紹介。そのうえで「私は彼らの野球に対する姿勢を尊敬する」と続け、吉田の騒動について持論を述べた。 「子どもとの経験を理由にボールを手にした家族は、自分たちで掴み取ったわけではない。すでに多くの懐疑論が上がっているように、僕から言わせてもらっても奇妙な話だ。家族がヨシダにとって貴重な一球であることを理解してもらうしかない」 なお、今回の一件についてレッドソックスは所有者となった家族に対して「マサ(吉田の愛称)のサイン入りボールとバット、バッティンググローブ、無料の観戦チケットの提供、クラブハウス案内、選手との面会」と交換条件を提示していた。ゆえにカッリエリ記者も「ここまでプレゼントされるのだから正気に戻るべきだ。子どもためにも賢い判断をするべきである」と指摘している。
構成●THE DIGEST編集部
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ルール変更で返却義務ありでしょうか。
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