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新型コロナウイルス禍を契機に多摩川河川敷でのキャンプやバーベキュー人気が高まる一方、放置ごみの収集やたき火の後片付けに追われる地元の清掃ボランティアが悲鳴を上げている。夏のレジャーシーズンを控え、東京都青梅市は、環境に配慮した野外活動ルールの普及活動を行うNPO法人リーブノートレイスジャパン(墨田区)と連携協定を結び、利用者の意識改革を図る取り組みを始めた。【山本悟】 同市御岳地区でラフティング講習会などの運営会社を経営する柴田大吾さん(46)によると、同市や奥多摩町などの多摩川河川敷では、バーベキューの際の燃料ガス缶やビール缶、酒びん、ペットボトル、発泡スチロール製のトレーや箱の廃棄が目立ち、鉄製コンロを川原に放置するケースもある。まきや炭を囲むように石を積み上げ、鉄板や網を乗せて調理する直火(じかび)焼きの跡もそのまま残っているという。 ◇総量2トンの日も あふれるごみを見かねて複数のボランティア団体が収集作業を行うほか、柴田さんもカヌー愛好団体と3年前から毎年春と秋を中心にごみ拾いをしている。今年3月には、ごみの総量は1日で2トントラック1台分に上った。中でも川の蛇行部分にある青梅市の釜の淵公園は深刻で、川原のごみが増水時に下流へ移り、海洋汚染の要因にもなっている。 公園を管理する青梅市や河川敷を管理する国土交通省はごみを捨てず、持ち帰るよう呼びかける看板を設置しているが、効果はない。柴田さんも「拾った先から、ごみが捨てられる状況。看板を設置し、マナーを訴えても改善しない根深い問題」と頭を抱える。 問題解決に向け、環境配慮型の野外活動を広めようと、NPOは利用者や活動に関心のある人を対象に勉強会を開く。7月中に3回開催し、その様子をSNS(ネット交流サービス)で発信。15日の勉強会は市側も参加して多摩川の川原で開催し、川の水で食器を洗うことの影響などを学び合う。 6月15日の協定調印式で浜中啓一市長は「コロナ禍でアウトドアの需要が高まっている。多くの来訪した人に保全された自然環境を楽しんでもらい、子どもたちに美しい自然を残していきたい」と期待を述べた。 ◇環境倫理「LNT」 自ら抑制、7原則 世界94カ国・地域で導入 NPO法人リーブノートレイスジャパンは、快適にアウトドア活動を楽しむための「リーブノートレイス(LNT、Leave No Trace)」という行動基準の普及・推進を図る国内組織として2021年に設立された。 LNTは、環境への負荷を最小限に抑えてアウトドア活動を楽しむための考え方や方法を示した環境倫理プログラム。ごみの適切処理▽環境への影響を抑えるたき火▽野生生物の尊重と配慮▽見たものはそのままにする--など7原則がある。 一方的に禁止、規制するのではなく、利用者が自ら抑制する手法を具体的に指導する点が特徴。ペットボトルは分解するまで450年程度、ビニール袋は50年程度かかり何世代後にも残るなどの研究データを示して持ち帰りを促す。また、直火は地表近くの微生物を死なせ生態系に影響を及ぼすため、約20センチの厚さで石を敷き詰め、熱伝導を防ぐことなどを啓発している。 1991年、LNTの行動基準を作成した米連邦森林局を含む米連邦政府4機関などが共同採択し、93年に普及啓発の非営利団体が米国で設立された。台湾の森林局が公園管理に採用するなど94カ国・地域で導入されている。
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一部のモラルの無い者の行動で、環境破壊は情けない。
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