ドラフトで素質ある選手を獲得し、彼らにより多くの出場機会を与えて一人前に育てる。結果として若手の“促成栽培”を阻害するベテランは放出もいとわない。そうやって新陳代謝を繰り返しながら、過去11年間でリーグ優勝5回、昨年は日本一になった。
しかし、3日現在、首位・楽天から17.5ゲーム差の5位。
「フロントや首脳陣はそろそろ大幅な新陳代謝が必要だと考えている。オフにチームを出ることになるのは中田翔(28)だけではないでしょう」と、日本ハムOBがこう続ける。
「投手では抑えの増井浩俊(33)、中継ぎ左腕の宮西尚生(32)、同じく右腕の谷元圭介(32)、野手では捕手の大野奨太(30)が国内FAを取得済み。彼らはすでにピークを過ぎた選手、今後は彼らに代わる若手を起用していこうというのがフロントや首脳陣の判断なのです。それだったら需要というか、他球団で働き場所があるうちにFAを行使して出て行っても構いませんよというスタンスなのです」
■起用法にも表われる球団の思惑
だからといって彼らの肩をたたいているわけではないにせよ、球団のそんな思惑はすでに起用法にも表れている。
「例えば正捕手の大野ですよ。リーグ戦が再開されて以降、3日までの10試合のうち、スタメンマスクをかぶったのはわずか2試合。首脳陣は5試合に先発出場した3年目の清水優心(21)を一本立ちさせたいのです。打率2割に満たない打撃はともかく、守備はすでに合格点をやれるまでに成長していますからね。中継ぎの柱として欠かせなかった宮西や谷元も、最近はワンポイントとかリードされている場面での起用が目立つようになってきた。栗山監督が彼らの代わりに抜擢しようと考えているのが鍵谷陽平(26)や白村明弘(25)や公文克彦(25)なのです」(前出のOB)
12年オフには糸井(現阪神)をトレード、14年オフには小谷野(現オリックス)と大引(現ヤクルト)をFAで放出。レギュラーでなおかつ中軸を打つ主力を次々に手放し、代わりに若手を起用しながら育てて結果を出してきた日本ハムが、このオフは実に5人もの選手をFAで売る可能性があるのだ。
そうやって日本ハムから売りに出されそうな選手たちに、いまから垂涎のまなざしを向けているのが巨人だ。
阪神入りがすでに「内定済み」といわれる中田はともかく、捕手と中継ぎといえば巨人の補強ポイント。
正捕手の小林の取りえは「顔と肩の強さだけ」と言われるし、リリーフ陣もマシソンとカミネロの助っ人外国人にオンブにダッコというのが実情だ。今年で契約が切れるマシソンは、来季も巨人でプレーする保証はない。
先月半ばに就任した鹿取義隆GMは、今後は育成に舵を切る方針を明らかにしている。「(近年は)若い選手が出てこなかったところに欠陥がある。そこを補うプランニングをして、いいスカウティングをして育てていく」と言ったものの、ない袖は振れない。スカウティングと育成はあくまでも先を見据えたプランであって、このオフは補強ポイントの手当てが急務になる。
ちなみに増井(年俸2億2000万円)、宮西(年俸2億円)、谷元(年俸1億円)、大野(年俸5500万円)は、いずれもBランク以上の選手。FAで“指名”できるのは2人までだから、「巨人は枠を目いっぱい使って、彼らの中から2人を取りにいくに違いない」と周囲は見ている。
(日刊ゲンダイ)
年俸2億円が上限みたいだから、超える選手は移籍するだろう。
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