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前編記事『【元運転手が決意の告白】官房機密費が「内閣府」送迎スタッフへの「特別手当」として使われていた!』では、内閣府で大臣・副大臣らの運転手として働いていた石川小吉(仮名)氏が、かつて「特別手当」として官房機密費(内閣官房報償費)が原資とされる現金を、「運転を担当していた官房長官から受け取っていた」ことを告白した。 派閥のパーティー券収入を原資とする裏金問題で自民党が揺れる中、「政治とカネ」に新たな疑惑が浮上している。 「『特別手当』を毎月もらえたのは、官房長官の運転手のみだった。ただ、安倍晋三元総理くらいの大物となると、話は別です。心付けとして毎月3万円、現金で手渡されていました。無論、領収書は不要です。問題になった派閥のパーティーの裏金か、文通費あたりが原資になっていたのではないでしょうか」(石川氏) 文通費とは「文書通信交通滞在費」を指す。現在は「調査研究広報滞在費」と名称変更されているが、全国会議員に非課税で月額100万円が支給されており、こちらも使途公開の義務はなく、領収書も不要だ。 「平日夜の会合が深夜に及ぶので、官房長官の運転手にプライベートはほぼありません。小さい子どものいる運転手からは敬遠されていました。でも、稼げるのも事実。給与や残業代、機密費も含めれば月収が100万円近くなることもありました」(石川氏) 官房長官の運転手は毎朝7時頃、官邸2階の駐車場で黒のアルファードに乗り、合同庁舎2号館でSPを拾って、赤坂宿舎もしくは居宅に向かう。石川さんが運転手として仕えた長官は、菅義偉氏(75)、加藤勝信氏(68)、松野博一氏(61)、林芳正氏(63)の4名だという。 「菅さんは毎晩、会合を3軒ハシゴしていたので、赤坂宿舎に送って内閣府の駐車場に戻ると日付が変わっていた。お酒を一切飲まないのに情報収集が好きで、毎晩、人に会い、土日も一日も休まない。運転手仲間の間で『大丈夫だろうか』と心配の声があがる異常な働きぶりでした。ただ、せっかちな性格で移動の際、最短ルートで行かないと叱責されます。2回続けてミスした運転手は就任からわずか2週間で交代させられていました。仕事に厳しい人、という印象です」 その後に仕えた3名は、どちらかと言えば温厚な印象が強いという。石川さんが続ける。 「加藤さんは気さくな性格。運転手にもSPにも丁寧に接し、裏表がない。難点がない人で、強いてあげるなら自宅が渋谷区でやや官邸から距離があり、朝が早かったことくらい。子どもがうまれた運転手に自腹で心づけをくれるなど、気配りの人でした。 松野さんにも嫌な思い出はない。菅さんみたいに会合のハシゴは少なく、22~23時過ぎには官邸に戻ってこれました。拘束もさほど長くないので、運転手から人気がありましたね。ただ、菅さんの働きぶりと比べると“長官として機能しているのか”と疑問は残りました。今の林官房長官はお酒がお好きで、会合が0時過ぎまで続くことがしばしばある。ただ、前任の方々は完全に情報収集のための会合でしたが、林さんはプライベートと思われる会合も含まれていましたね」 機密費は常に官房長官室の金庫に8000万円から1億円ほど保管されており、減るたびに補填(ほてん)する役人がいるといわれている。 「局長の1つ前のポストである内閣総務官が補填していると聞いています。総務官にも運転手がつくのですが、日本銀行にも民間の銀行にも行っていない。どこからお金を持ってきているのかわからないのです」(石川氏) まさに打ち出の小槌だが、前述したように原資は国民が納める税金だ。社会保険料は値上げする一方で国民負担が増え続ける中、政治家に痛みを分かち合おうという姿勢は見えない。 麻生太郎政権で官房長官を務めた河村建夫氏(81)は「私の時代はポケットマネーで特別手当を払っていた」としたうえで、官房機密費の使い道についてこう説明した。 「国益につながるかどうかが一つの判断基準。運転手やSPにご苦労さん、と渡すならポケットマネーでやるべきもの。報償費の原資は税金ですから。一定期間後に公開する仕組みを作らないとデタラメに使われ続けるでしょう」 内閣府総務官室の参事官に、「官房機密費の一部が運転手やSPに支払われている点は事実か」と質すと、以下のように回答した。 「官房長官の責任で厳正に効果的に使用している。機密上の問題もあり、個別具体的な使途については一切のお答えを差し控えている」 続けて警視庁総務部広報課広報第三係に同様に質すと、「お尋ねの件については承知しておりません」と無回答だった。 あれだけ大騒ぎとなった裏金問題も、大半の政治家は咎められることもなく、「政治活動に使った」との説明で逃げ切り、追徴課税もされなかった。 政治とカネの闇は底知れない。
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官房機密費が、裏金の温床でしょう。
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