またも「前言撤回」に追い込まれた。7日、東京など4都府県に出していた緊急事態宣言の延長と、福岡、愛知両県への追加発出を決めた菅義偉首相。記者会見では、4月下旬の宣言発出時に掲げた「短期間集中」の看板取り下げを陳謝せざるを得なかった。これまでに訴えてきた新型コロナウイルス対策の決意は、見通しが甘く、短い間に破れてしまうケースが目につく=表参照。「軽い言葉」で果たして、国民とリスクコミュニケーションを取れるのか―。
午後7時に官邸で始まった会見。黒っぽいスーツにノーネクタイの首相は、「緊急事態宣言に愛知県、福岡県を追加し、31日まで延長する」と切り出した。これまでの宣言期間中、休業要請に応じた事業者や医療関係者に「心から感謝を申し上げる」と語り掛け、「引き続き負担をかける国民に深くおわびする」と3秒間、頭を下げた。
質疑では1問目に、宣言の期間を11日までの2週間余りとした当初の判断が妥当だったかをただされた。首相はこれに正面から答えず、「人流の減少という所期の目的は達成できた」と効果を強調。「短期間集中」でウイルス感染を下火にできなかった重い事実を前にして、苦しいやりとりを強いられた。
就任から約8カ月。「政権の一丁目一番地」(側近の官邸官僚)と位置付けるコロナ関連対策で発した首相の約束は、しばしば変遷した。
例えば、年明け早々に首都圏1都3県に2回目の宣言を出した際。「(首都圏以外は宣言を出す)状況にはない」「1カ月で何としても感染拡大を防止したい」と力を込めたものの、1週間もたたないうちに大阪、福岡など7府県を宣言の対象地域に追加することとなった。結局、宣言の全面解除は3月下旬までずれ込んだ。
昨年12月中旬には、感染拡大にかかわらず継続することに世論の批判が高まっていた観光支援事業「Go To トラベル」の一時的な運用停止を「考えていない」と否定し、3日後に停止を表明したことも。
首相が専門家の忠告、世論の不安に耳を傾けず、閣僚や与党に根回しもせずに発信するケースが目立つ。政府関係者によると、今年4月23日の会見で打ち出した「高齢者ワクチン接種の7月末完了」を巡っては、直後に関係省庁や自治体から「聞いていない」との戸惑いが噴出したという。「わざと『高めの目標』を掲げて、国民に(行動)変容を促しているんだ」。古くからの友人はこう好意的に受け止める一方、複数の官邸官僚は「何でも自分で決めたがる性格が裏目に出ている」と声を潜める。
コロナ禍のような長期にわたる国家的危機に直面しては、指導者と国民が信頼関係を結び、思いを共有することが不可欠。首相の言葉に「真」がこもっていなければ、前進は望めない。
「『発出と解除を繰り返す宣言にはいちいち従わなくてもいい』との声も(国民から)出始めている」。この日の会見の最終盤、こんな問いも向けられた首相は「いろんなお願いをしたことを、粘り強く行っていくのが大事だ」とかわした。 (湯之前八州、森井徹、川口安子)
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すべてが後手後手中途半端で、目先の経済活動優先も、同じことの繰り返しで、長期化してますます経済は疲弊している。短期間経済を止めて、十分な補償をして、なぜ終息できないのか。
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