トリミング中にハサミが喉に刺さったことが原因で、愛犬のトイプードルが死んだことをめぐり、トリマーだった男性に対し、飼い主家族が慰謝料など約350万円の支払いを求めていた裁判。大阪地裁は9月12日、トリマーだった男性に39万6000円の賠償を命じました。
最愛のトイプードルが…3回の手術の甲斐なく死ぬ トリマー側の説明も二転三転
訴状によりますと、大阪府内に住む夫婦と娘は、2012年から雌のトイプードルを愛犬として飼育していました。 ところが2020年5月、兵庫県宝塚市のペットサロンでトリミングを実施してもらった際、トリマーの男性(現在は廃業)が持っていたハサミが、愛犬の喉に深く刺さりました。動物病院で3回の手術が行われましたが、愛犬は10日後に死にました。 喉の傷は長さが3センチ大に及び、食道も完全に切れていました。 男性は当時、動物病院の獣医が事故の原因をたずねても「意識を失っていた。覚えていない」という説明に終始。その後は「犬が急に伏せの体勢を取ったため首が傷ついた」などと説明しました。しかし獣医は、それだけで今回の事故のような深い傷は生じないと指摘していました。 また飼い主側は、男性が再発防止策を示すことなどを条件に和解を提案したものの、男性は応じませんでした。 こうした状況を踏まえ飼い主側は、「注意義務に違反し、通常の施術では生じることのない深い傷を愛犬に負わせた。重大な過失があることは明白」として、トリマーだった男性に対し、慰謝料など約350万円の支払いを求め、2020年11月に大阪地裁に提訴しました。 男性側は裁判で、獣医の初期対応にも問題があったなどの主張を展開しました。
「ケガの防止策を一切とらなかった被告の過失は大きい」約40万円の賠償命じる判決
大阪地裁は9月12日、愛犬がトリミング台から前足を踏み外し、ハサミに向かって体重がかかったことにより事故が起きたと認定し、「ハサミの切っ先を犬の体に向けないようにすることや、首輪を付けて固定することなど、ケガの発生を防止する方策を一切とらなかったのであり、被告の過失の程度は大きい」と指摘。 また、獣医の治療については、不適切な点が全くなかったとは言えないものの、「別の治療を受けていれば死を回避できたということはできない」としました。 その上で、慰謝料の額については「愛犬の購入価格(40万円弱)を大幅に超過する金額を肯定することはできない」などと判断。トリマーだった男性に対し39万6000円の賠償を命じる判決を言い渡しました。 判決言い渡し後の会見で飼い主の男性は、「ペットは物じゃなくて家族。その点についての記述が判決に一切なかったのは大変不満に思っています」と話しました。 (MBS司法担当 松本陸)
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慰謝料の算定は不可能でしょう。
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