令状なきGPS捜査を違法と断じた最高裁大法廷判決に、警察の現場からは厳しい受け止めが相次いだ。今後の捜査で事実上使えなくなったばかりか、判決が確定していない刑事事件の公判で、裁判官がGPSで得た証拠を排除する可能性があり、影響は深刻だ。
福井地裁は昨年12月、覚せい剤取締法違反に問われた男に懲役6年、罰金100万円を言い渡した。地裁はGPS捜査を適法と判断し、男の車2台に端末を取り付けて得た証拠も採用した。1審で弁護人を務めた吉川健司弁護士は大法廷判決を根拠に「(控訴審では)GPS捜査に関連して得られた証拠は違法収集証拠だ」と主張する方針だ。これに対し、福井県警幹部は「GPSが使えなくなれば時間と手間がかかり、捜査が後手に回る」と危機感を募らせた。
広島県警が2013年に窃盗事件で実施したGPS捜査を巡っては、1審・広島地裁福山支部、2審・広島高裁がいずれも適法と認定し、実刑判決が確定している。同県警捜査員は「プライバシー侵害」を前面に出して違法とした大法廷判決に対し、「公道(でのGPSデータ取得)ならプライバシー侵害とまでは言えないのでは」と戸惑う。
大阪府警の幹部は「判決の影響は大きいが、立法には時間がかかることが予想される。代わりにできる捜査をするしかない」と厳しい表情。窃盗事件捜査が長い捜査員は「複数の容疑者が絡んだ事件では行動確認が不可欠。基準を明確にしてGPSが使えるようにしてほしい」と話した。
ただ、使用効果が薄れつつあるとの見方もある。福岡県警幹部は「GPSの捜査手法が知れ渡り、暴力団などはかなり警戒しているはずだ。わざわざ令状をとってGPSを付けるケースは限られてくるだろう」と話した。【立野将弘、東久保逸夫、山田毅、平川昌範】
(毎日新聞)
プライバシー侵害だろうか。
犯罪者が野放しでよいのだろうか。
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