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2017年3月25日土曜日

稀勢の里、激痛1敗!左胸を負傷病院送りで夏場所も休場か

◆大相撲春場所13日目 ○日馬富士(寄り倒し)稀勢の里●(24日・エディオンアリーナ大阪)

 横綱・稀勢の里(30)=田子ノ浦=が休場の危機に追い込まれた。結びで横綱・日馬富士(32)=伊勢ケ浜=に敗れて初日からの連勝が12で止まり、昇進後初黒星。寄り倒された後に土俵下に左肩から転落し、大阪市内の病院へ搬送された。患部は左肩から左胸あたりで長期離脱の可能性もあるが、本人と師匠の田子ノ浦親方(元幕内・隆の鶴)は出場の可否を明言せず。全勝街道をまい進していた新横綱の状況が一気に暗転した。

 苦痛でゆがんだ表情に場内が騒然とした。日馬富士に一気に寄り倒された稀勢の里が起き上がれない。左胸を押さえ土俵に上がろうとしたが、痛みで顔をゆがめ片男波審判(元関脇・玉春日)に背中から覆いかぶさった。20秒…30秒…。最後は土俵に上がることを諦め、呼び出し3人に支えられて西の花道の奥へ消えた。

 右手で左腕を固定するようにして引き揚げてきた支度部屋では、荒い息づかいとともに「アァ」という声を漏らした。報道陣の問いかけにも応じず、風呂場から出ると到着した医師の診察を受け左腕を三角巾で吊った。駐車場で迎えを待つ間も報道陣の脚立を借りて座るほど。救急車で大阪市内の病院へ搬送されたが、頑丈な横綱らしからぬ光景に誰もが言葉を失った。

 対戦した日馬富士は取組中での異変について「お互いそんなに(けがをするような)余計な動きはしていないけどね」と首をかしげた。支度部屋で診察した医師によると、稀勢の里は「動かない。痛みがあって動かすのが怖い」と言っていたという。病院に連絡した医師は「肩から落ちて肩が動かない」と伝えたが、大胸筋断裂の可能性もある。

 13年九州場所で右の大胸筋を痛めた琴奨菊(当時大関)は途中休場し、全治3か月と診断された。協会関係者は「長期の離脱になるかもしれない」と話し、今場所の休場はおろか夏場所の出場も危ぶまれる。土俵下の藤島審判長(元大関・武双山)は「大胸筋の肉離れだと引きつけることはできるが突っ張ることはできない。あれほど痛がるのはよほどだね」と事態の深刻さを語った。なにより最大の武器である左おっつけが使えない状況なら、土俵に上がっても劣勢は必至だ。

 午後9時15分に大阪市内の部屋宿舎に戻った稀勢の里は無言を貫いた。師匠の田子ノ浦親方は出場の可否について「今日は様子を見て。明日相談して決めたい。(負傷部位は)まだ場所があるので」と慎重。だが患部を明かさなかったのは、弱みを見せず強行出場するからとも受け取れる。02年春場所の初土俵から休場はわずか1日(14年初場所の千秋楽)という鉄人の決断を、日本中がかたずをのんで見守っている。

 ◆新横綱の休場 1場所15日制が定着した1949年夏場所以降に誕生した横綱32人のうち2人が休場している。54年春場所の吉葉山は急性腎臓炎・糖尿病で全休。81年秋場所の千代の富士は2日目に稀勢の里の先代師匠でもある隆の里(当時小結)との一番で左足首を痛めて3日目から休場した。
(スポーツ報知)

 優勝候補が、大波乱で、長期離脱となれば、引退危機か。

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