いつになったら自慢の「聞く力」を発揮するのかーー。岸田政権は19日、過去最大規模の財政支出55兆7000億円もの経済対策を閣議決定。衆院選の政権公約に掲げた介護や保育、看護職の賃上げを盛り込んだが、実態は介護・保育が月3%、看護が月1%程度の“シブチン上げ”。高騰するガソリン価格に愚策を掲げ、追い打ちをかけるように「住宅ローン控除の縮小」も言い始めた。岸田首相の耳に、庶民の悲鳴は届いていないようだ。 ◇ ◇ ◇ 〈仕事内容に比して賃金の水準が長い間低く抑えられてきた方々の所得向上に向け、公的価格のあり方を抜本的に見直します〉―ー。政権公約で大ミエを切ったにもかかわらず、〈抜本的な見直し〉はお粗末そのもの。介護・保育職は月9000円、看護職は月4000円の賃上げに、ネット上は〈子どもの小遣いかよ〉〈全然足りない〉などと大荒れだ。 それもそのはずで、政府の公的価格評価検討委員会によると、全産業平均の月収35万2000円に対し、介護職は同29万3000円、保育職は30万2000円。5万~6万円も下回っており、月9000円程度の賃上げでは所得格差は埋まらない。政府は、人手不足が深刻な介護職など14業種で来年度にも外国人の在留資格をなくす方向で検討している。なおさら離職防止と人材確保に力を入れるべきなのに、この程度の賃上げでは人手が集まるわけがない。
現実を無視した政府の数字
看護職は月収39万4000円で全産業平均を上回っているものの、シブチン政権に現場はカンカンだ。日本医労連の森田進書記長がこう指摘する。
「政府の示した賃金は夜勤手当やボーナスなどを全てひっくるめているので高く見えますが、我々の調査によると、看護職は40代の基本給が29万円程度。政府の数字は、心身的負荷の大きい労働条件で働いている現実を無視しています。賃上げや人員増によって、離職の最大の理由になっている過重労働を解消しなければ、岸田首相がうたう『処遇改善』にはつながりません。介護も看護も、上げ幅が1ケタ少ないのです」
しかも、看護職の賃上げは新型コロナウイルス対応に従事する看護師を対象に来年2月から9月までの期間限定策だ。一時的な“施し”には「何が分配だ!」と言いたくなる。
トリガー条項は拒否、住宅ローン控除縮減
「国民の声」を聞いていないのか、約7年ぶりの高値水準が続くガソリン価格の抑制も、やる気ゼロ。価格が1リットル160円を3カ月連続で超えた場合に25.1円分の課税を停止する「トリガー条項」の発動は、復興財源である課税分を減らすことになるため、財源確保に支障をきたすとして凍結されている。法改正して解除すれば庶民の懐は温まるが、政府は凍結解除を「適当でない」(松野官房長官)と切って捨てた。 「トリガー条項が1年間発動された場合、1世帯当たりの負担減は1.3万円に上ります。特に自動車関連の支出が高い北陸や東北、四国、東海地方での負担減は1.6万~2万円。裏を返せば、ガソリン支出の高い地域の方が価格高騰による負担が大きい。政府は1リットル170円を基準に最大5円の補助金を出す方針を示していますが、原油先物価格が落ち着いてきているため、170円に届かない可能性があります。条件が整っても5円の補助では、大した抑制効果はない。そもそも、補助金は石油元売り各社に出すということなので、小売り価格に反映されるかも不透明です」(第一生命経済研究所・永濱利廣首席エコノミスト) 庶民の懐事情を悪化させかねない悪手の「ガソリン補助金」に加え、自民党税制調査会は18日、年末のローン残高(上限4000万円)の1%を所得税や住民税の税額から差し引ける「住宅ローン減税」の控除額を縮小する方針を示した。
「国民の声」と逆行している岸田政権に、成長も分配も期待できない。
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本当に1桁少ないと思います。口先だけで期待できない。
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