「ボクシング・WBC世界バンタム級王座決定戦」(24日、トヨタアリーナ東京)
同級1位の那須川天心(27)=帝拳=が同級2位の井上拓真(29)=大橋=に判定0-3(111-117、112-116、112-116)で敗れ、世界王座獲得はならなかった。ボクシング8戦目、キックボクシング時代からの公式戦55戦目で初黒星となった。
“神童”についに土がついた。1年1カ月ぶりの再起戦となった元世界王者の井上の前に完敗。前日計量ではお披露目された特製の“侍ベルト”を前に、「かっこいい。武士道が好きなので、僕のためにあるベルトだなと。ほしいっす」と語っていたが、ボクシングでの頂点はお預けとなった。
1回は互いに慎重に間合いをはかりながらの静かな展開。残り20秒で天心が左を浴びせて、井上が後退。会場を沸かせた。2回は徐々に天心が手数を増やしていく。変則的な動きから右を浴びせる。3回も井上のパンチを交わしながら、ボディーを浴びせていく天心。井上を翻弄(ほんろう)する形で序盤を終えた。
4回は井上がプレッシャーを強めていき、天心に右を浴びせていく。公開採点では3者とも38-38で同点。5回も井上が前に出て行く展開。井上が勢い余って転倒する場面も。終盤に天心がグッと距離を詰めて左を当てて、ラウンドを終えた。6回は序盤から距離を詰めて激しい打ち合いに。井上の右が天心の顔面を捉えていく場面が増える。セコンドの井上尚弥からも「勝ちにいくぞ、勝ちにいくぞ」とのゲキが飛んだ。
7回は一進一退の攻防が続き、8回は天心がボディーを浴びせてながら主導権を握りにいく。公開採点では2者が井上を支持、1者が同点だった。
終盤に入った9回、気迫がぶつかりあって、互いにもつれて倒れる場面が。井上が前に出る中で、天心は連打で反撃に出る。
10回、天心はノーガードからトリッキーな攻めで勝負に出る。翻弄(ほんろう)しながら、パンチを浴びせていき、ペースをつかむ。11回、勝負を懸けて前に出て来た井上が連続アッパーで攻め立てる。天心はジャブを浴びながら、「こい!」と挑発して闘志を全面に出していく。最終12回は互いに死力を尽くし、パンチを繰り出していくが、決定機のない中で終了のゴングが鳴った。天心はコーナーに戻った時点で負けを確信したのか、瞳には涙が浮かんだ。井上に「またお願いします!絶対強くなるんで!」と呼びかけた後、四方の観客に正座で頭を下げた。
◇那須川天心(なすかわ・てんしん)1998年8月18日、千葉県松戸市出身。キックボクシング42戦全勝、MMA4戦全勝。2018年大みそかにエキシビションでボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(米国)と対戦し、KO負け(非公式)。22年6月の武尊戦を最後にプロボクシングに転向。23年4月にボクシングデビューし、24年10月にWBOアジア・パシフィック・バンタム級王座獲得。7戦7勝(2KO)。身長165センチ。リーチ176センチ。左ボクサーファイター。
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那須川天心有利と思われた試合内容も、有効打が少なく、初黒星は順当でしょう。

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