岸田文雄政権は急激に進む少子化対策として子供政策の充実を掲げるが、その裏付けとなる財源の確保は見通せていない。首相は来年4月に子供政策の司令塔となる「こども家庭庁」を創設することも踏まえ、子供関連予算の倍増を目指すと公言する。ただ、来年度予算の編成作業では、まとまった財源が必要な「3兄弟」と呼ばれる子供政策と防衛費の増額、脱炭素政策のうち、子供政策の遅れが目立っている。
「子供政策を支える負担のあり方は来年の(政府の経済財政運営の指針)『骨太の方針』で中長期的に賄う道筋を明らかにする」。首相は11月29日の衆院予算委員会で、財源確保策の提示は事実上来年度に先送りする意向を示した。
日本の子育て関連の公的支出は欧州諸国の半分程度にとどまっており、少子化の一因とされる。首相は6月14日の参院内閣委員会で「子供を支えるために社会全体で議論を行い、その積み上げによって予算倍増を目指す」と言及。同月閣議決定した今年の骨太方針では「企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組みについても検討する」と明記した。
政府は、出生数の減少幅が予想を上回るペースで進むことも踏まえ、出産や子育て支援のメニューを矢継ぎ早に提案している。
11月24日には、政府の全世代型社会保障構築本部で、育児休業明けで時短勤務を選んだ人への給付策や、育児休暇を取得できない自営業者らへの給付制度の新設を盛り込んだ「論点整理」が決まった。新たな財源が必要になるが、論点整理では「恒久的な施策には恒久的な財源が必要だ」と触れるにとどまった。
政府は論点整理をもとに年内に子供政策に関する中長期的な改革工程表をまとめるが、当面は財源確保策まで手が回らない状況だ。厚生労働省幹部は「国民の理解を得る必要もあり、ハードルが高い」と語る。
防衛費増額や脱炭素の財源についての議論も行われている。防衛費は政府有識者会議が同月22日、財源には幅広い税目による増税を含めた国民負担が必要だとする提言を提出。政府は与党税制調査会の議論も踏まえて決着させたい方向だ。
脱炭素に関しては「GX(グリーントランスフォーメーション)経済移行債」という国債を発行する方針が打ち出されている。
政府内では子供政策の財源として、医療・介護の保険料に一定額を上乗せし、「協力金」として徴収する案や、企業が児童手当などの財源として負担する「事業主拠出金」の増額案が一時、浮上した。
だが、ロシアのウクライナ侵攻などで安全保障環境が急変し、防衛費増額が喫緊の課題となった中、子供分野で新たな国民負担を求めることには「慎重にならざるを得ない」(自民党幹部)との声は少なくない。年末に向けた来年度の予算編成作業でも、子供政策の新たな財源手当ては進んでいないのが実情だ。
来年4月に発足する「こども家庭庁」をめぐり、初年度の概算要求は総額約4兆7千億円。首相の目標通り予算を倍増する場合、巨額の財源が必要になる。与党内からは「国民負担ありきではなく、国の予算を総点検し、無駄を省くのが先だ」(閣僚経験者)との声も上がる。
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無駄な防衛費倍増よりも、子供政策、少子化対策が最優先でしょう。
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