10日閉幕した臨時国会で、岸田文雄首相は3閣僚の「辞任ドミノ」などで窮地に陥りながらも、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題を巡る被害者救済法や補正予算の成立にこぎ着けた。ただ、閣僚更迭の対応などに与党内で不満が渦巻き、求心力が低下。年内にあり方をまとめる防衛費増額の財源を巡っても、首相の増税方針に自民党内から強い反発を受けており、難局が続きそうだ。 「野党のご意見もできる限り取り入れつつ、与野党の垣根を越えた圧倒的多数の合意の下で新法を成立させることができた」。首相は10日夜の記者会見で、被害者救済法成立の意義を強調した。その上で、月内の国家安全保障戦略など防衛3文書の改定や、2023年度予算案編成に向けて「重要な課題が山積している。一つ一つにベストの結果を出す」と力を込めた。 被害者救済法を巡り、政府・与党は野党の要求をのんで法案修正を繰り返し、立憲民主党や日本維新の会などの賛同を取り付けた。旧統一教会問題の対応に批判を受ける中、与野党合意への努力を示すことで、教団への強い姿勢を世論にアピールする狙いがあった。 首相は10月19日の国会審議でも、教団への解散命令請求を視野に、民法の不法行為も「要件に入る」と表明。その前日に「入らない」としていた法解釈を一変させた。11月22日には初の質問権行使に踏み切った。 10月3日に臨時国会が召集された直後から、首相は旧統一教会問題への対応に追われた。教団と自民党議員との接点が相次ぎ発覚し、内閣支持率が低迷。同24日には問題の「象徴」(党関係者)とやゆされた山際大志郎前経済再生担当相の交代に追い込まれた。 また、首相の東南アジア3カ国歴訪の前後には、死刑を巡る発言などで葉梨康弘前法相、「政治とカネ」の問題で寺田稔前総務相が相次ぎ辞任。3閣僚の事実上の更迭に関しては、首相は「説明責任を果たすべきだ」としていずれもいったんは続投させ、傷口を広げた。自民党内に「判断が遅い」と批判の声が広がり、連立を組む公明党も不快感をあらわにした。
「今は孤独でつらい時もある」。首相は11月下旬、母校の早稲田大出身の国会議員との会合で、こう漏らした。同席した森喜朗元首相が「首相とは孤独なものだ。頑張れ」と激励したものの、その悩みは深い。
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防衛増税は致命的でしょう。
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