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防衛費増額に伴う財源の一部を増税で賄う岸田文雄首相の方針を巡り紛糾した自民党税制調査会は15日、令和5年度税制改正大綱に税目と税率を盛り込むことで合意したものの、党内の強い増税反対論に配慮し、実施時期を明示せず、判断を来年に先送りすることで何とか着地した。ただ、党内には突如増税に言及し、1週間程度で結論を求めた首相に対する不信感は残っており、議論の火種がいずれ再燃するのは確実だ。 党本部9階で15日、2時間以上にわたって開かれた党税調会合は、怒号が飛び交った13、14両日の会合のように「殺気立った雰囲気」(出席者)にはならなかった。党税調幹部は、来年1月召集の通常国会で増税のための法改正はせず、増税時期などの詳細は来年の税調で議論する方針を提示。これを受け、増税反対派も「肩透かしにあった」(中堅議員)形となり、批判のトーンを弱めた。 14日の会合後、「国民を敵にする方向に進んでいる」と批判した宮沢博行衆院議員も、15日は「(増税)時期は柔軟な表現にしてくれた。防衛増税無期限延期ということで納得した」と記者団に語った。 ただ、防衛費財源確保のための増税策として、法人税、所得税、たばこ税の3つの税目を組み合わせる枠は定まった。 これまでの党内論議で、安倍晋三元首相が生前、提唱していた「防衛国債」による対応が検討されなかったことから、保守派を中心に「増税ありきだった」との不満がくすぶっている。 防衛国債などによる財源確保を訴える和田政宗参院議員は「来年以降の議論をしっかりやることが重要だ。増税なき防衛費増額を勝ち取っていく」と述べ、徹底抗戦する構えを見せた。 「プロセスとしては非常に問題があったのではないか」 15日の会合では、首相が8日に9年度以降の防衛費財源の1兆円強を増税で賄う方針を示した後、議論が性急に進んだことへの苦言も相次いだ。防衛増税に理解を示す石破茂元幹事長ですら記者団に「もう少し時間をかけた方がより良かった」と語った。 首相が増税に言及したタイミングの悪さを指摘する声も多い。 中堅の参院議員は「参院選前に増税なんて言っていなかった。公約違反になってしまう」と語り、夏の参院選の公約と整合しない増税方針に苦言を呈した。 国会答弁で「検討」を連発する首相が野党から「検討使」と呼ばれていることを念頭に「検討使は検討だけしていればいい。決断すると間違える」と語気を強めた。(原川貴郎)
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性急な決断に不信感だけでしょう。
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