カジュアル衣料品店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングは11日、国内のグループ従業員の年収を最大で約4割上げると発表した。3月に改定し、国内人件費は総額で15%程度増える見込み。より高い海外の賃金水準に近づけ、優秀な人材を確保する狙いがある。岸田文雄首相が経済界に物価上昇率を超える賃上げを求める中、大企業で賃上げの動きが拡大しつつあり、春闘での労使交渉にも影響を与えそうだ。
同社の賃上げ対象は国内の正社員8400人で、具体的には新入社員の初任給は現在の25万5000円から30万円に引き上げる。入社1~2年目で就任する新人店長は、月収29万円を39万円に。その他の従業員も数%から約40%の範囲でアップさせる。
ファストリは海外にも店舗を広げ、アパレル業界では世界有数の企業に成長した。主力のユニクロ事業は海外の売り上げが国内を上回っており、賃金も海外の従業員の方が高い傾向になっていた。国内の給与水準を上げることで世界基準に合わせ、外部の優秀な人材の獲得や、内部からの流出防止にも期待する。同社の2022年8月期の連結決算は売上高に当たる売上収益が2兆3011億円、純利益が2733億円だった。
今回の改定によりファストリは月給だけでなく賞与も上がる見通し。役職手当などは廃止し、求められる能力や要件によって従業員に付与している「グレード」で報酬が決まるように変える。同社は昨年9月に国内のパートやアルバイトの時給を平均で約2割引き上げていた。
円安で業績が押し上げられた大企業などでは賃上げの実施や検討の表明が相次いでいる。キヤノンは今月、全社員約2万5000人の賃金を一律7000円底上げする事実上20年ぶりのベアを実施。サントリーホールディングスも月収ベースで6%の賃上げを検討する。一方で、コロナ禍からの業績回復が遅れている業種は慎重姿勢で、業種間の差も目立つ。
◆ファーストリテイリング カジュアル衣料品店の「ユニクロ」や「GU」を展開する。2022年8月期の連結決算は売上高に当たる売上収益が2兆3011億円、純利益が2733億円。1963年に設立した小郡商事が前身で、本店所在地は現在も山口市に置く。柳井正代表取締役会長兼社長は22年版フォーブス長者番付で世界54位、日本1位。
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優良企業と零細企業の給与格差は仕方ないのでしょう。いずれは、最低給与を大幅に上げて、付加価値の低い零細企業の再編が必要でしょう。
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