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岸田文雄首相は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けを現状の「2類相当」から、季節性インフルエンザと同等の「5類」へ引き下げる方針を固めた。今春の移行を視野に、20日の関係閣僚協議で具体的な検討を指示する。「新型インフルエンザ等感染症」の位置付けを変更することで、医療や社会活動に関する制限措置が緩和される。4年目に入った感染防止対策は、コロナ禍からの社会経済活動の正常化に向け、大きな転換点を迎える。 政府は第8波が落ち着き始めたことを踏まえ、世論の理解を得られると判断した。移行を急ぐ背景には、防衛費や子ども予算の増額を控える中、100兆円超をつぎ込んだコロナ対策費に歯止めをかけ、財政負担を軽減したい狙いがある。 第8波は、1週間当たりの新規感染者数が前週比0・64倍(19日現在)と減少傾向に転じた。死者数は過去最多水準だが、高齢者や基礎疾患の悪化が要因となっているケースが多いとする厚生労働省の分析を踏まえ、「5類移行のネックにはならない」(首相側近)との考えでまとまった。 コロナのリスク評価をしてきた厚労省専門家会議も11日に「段階的に移行すべきだ」との見解を表明し、事実上のお墨付きを与えた。官邸幹部は「移行の舞台は整った」と受け止める。 5類移行はウィズコロナを掲げる首相の「悲願」(側近)。年明け以降、記者会見などで「今年こそ平時を取り戻す」と繰り返し強調してきた。低支持率が続く中、コロナ対策の局面転換を図ることで、政権浮揚の足がかりにしたい思惑も官邸内に見え隠れする。 莫大(ばくだい)なコロナ対策費は、過剰な補助金などに関する必要性や費用対効果についてたびたび指摘されてきた。ここに来て、昨年末に増額方針が決まった防衛費への転用という「スリム化策」がうまくはまった。剰余金も積み上がり、一部の約750億円はそのまま防衛費に充てられる。政府は移行に伴い、医療費やワクチンの公費負担など国が負担してきた各種対策も段階的に縮小していく考えだ。 首相が表明した「子ども予算倍増」は財源の見通しがない。官邸幹部は「青天井で支出する今のコロナ対策は異常。他の重要施策に振り向けるため、縮小させていく必要がある」と話す。政府は今後、移行時期や対策の具体的な変更点について専門家らの議論を踏まえ決定する。19日、日本医師会の松本吉郎会長は「患者や医療機関が混乱しないよう慎重にソフトランディングしてほしい」と首相に要請した。 (岩谷瞬)
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医療費の負担だけが増えて、医療逼迫など何も変わらないのでしょうか。防衛費増額よりも国民の生命を守ることが政治でしょう。
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