1月4日、岸田文雄首相は、三重県伊勢市で年頭の記者会見に臨んだ。
「この30年間、企業収益が伸びても期待されたほどに賃金は伸びず、想定されたトリクルダウンは起きなかった。私はこの問題に終止符を打ち、賃金が毎年、伸びる構造をつくります。
今年の春闘について、連合は5%程度の賃上げを求めています。ぜひ、インフレ率を超える賃上げの実現をお願いしたいと思います」
政府としても、最低賃金の引き上げに加え、公的機関でインフレ率を上回る賃上げをめざすと表明した。さらに、「リスキリング(学び直し)の支援や職務給の確立、成長分野への雇用の移動を三位一体で進め、構造的な賃上げを実現する」と強調した。
岸田首相が語った「トリクルダウン」とは、富裕層や大企業が豊かになれば、その恩恵が低所得層や中小企業に滴り落ちることを指す。岸田首相は名指しこそしなかったが、安倍晋三元首相の「アベノミクス」が目指し、実現しなかったものだ。そのため、SNSでは《アベノミクスは失敗だったと認定したようなもの》と話題となった。
「アベノミクスによる金融緩和と機動的な財政出動で、企業業績は回復し、株価が上昇して雇用も増えました。さらに、安倍政権は賃上げの旗振り役となる『官製春闘』や『賃上げ促進税制』を導入しましたが、狙ったような賃上げにはつながりませんでした。
ただ、岸田政権でもその流れは変わりません。2022年12月6日、厚労省が発表した2022年10月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上)によると、物価の変動を反映させた実質賃金は前年同月比2.6%減で、7カ月連続のマイナスとなりました。
岸田首相が成立させた2022年度補正予算案では、歳出総額28兆9222億円のうち、企業の事業再編や生産性向上といった賃上げ関連に投じるのは7800億円。
岸田首相は2022年12月にも、『成長と分配の好循環は来年春の春闘の成果にかかっている』と述べています。効果的な賃上げ政策はなく、事実上、賃上げを企業の労使交渉に丸投げしているだけです」(政治担当記者)
岸田首相が「賃金が毎年伸びる構造をつくります」といいながらも、企業に「賃上げの実現をお願いしたい」と語ったことに、SNSでは批判の声が多く上がっている。
《結局、政府は何もせず会社任せの他力本願》
《賃上げは企業におまかせの「お願いスタンス」で無責任すぎる》
《岸田さん企業に賃上げ賃上げいってるけど毎回他力本願じゃなくて一時的に税金下げたり、やれる事もっとやってから他にお願いしろよ》
「トリクルダウンは起きなかった」と語りながら、「インフレ率を超える賃上げ」を企業に要請するだけでは、政府の無策を認めるようなもの。岸田首相が目指す「成長と分配の好循環」が実現するときは来るのか。
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インフレ率を超える賃上げ要請は政治ではなく、政権の無策無能でしょう。
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