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経済回復に水を差されている
政府がようやく「コロナ鎖国」の抜本的な解除に動き出した。 岸田文雄首相は1月20日、新型コロナの感染症法上の扱いを、季節性インフルエンザと同等の「5類」に、4月をメドに引き下げる方針を示し、厚生労働大臣や専門家に議論するよう指示した。 これまで新型コロナは、入院勧告や行動制限などができる「2類相当」としてきたが、季節性インフルエンザと同等となれば、行動制限などができなくなり、制限が大幅に緩和されることになる。また、マスクの着用についても任意にする方向で検討される。つまり、通常の風邪と変わらない、という扱いになるわけだ。 足下で感染者が急増する第8波が到来、1日の死者数は過去最多を更新している中で、なぜ今、大幅な緩和に踏み切るのか。 ひとつは「2類相当」では、発熱外来や指定された医療機関でしか患者を受け入れられず、医療機関が逼迫していること。新型コロナと診断されて入院しても、実際には重症化する人の数は大幅に減っている。一方、医療機関の「過重な」対応のために病床不足に陥り、新型コロナ以外の救急患者が受け入れられない事態に直面しつつある。こうした実情には現場の医師からも悲鳴が上がっている。「5類」となれば、一般の医療機関にも患者が分散するため、医療の逼迫は回避できることになる。
インバウンドに期待を込めているが
もうひとつが経済的な理由だ。発熱した場合や濃厚接触した場合の自宅待機を含め、厳しい行動制限が課されているため、ようやく回復しつつある経済活動に水を差す結果になっている。欧米などは新型コロナ禍からすでに立ち直り、好景気が続いているが、日本はようやく回復が見え始めた段階。ところが世界ではインフレ・金利引き上げによる景気減速が懸念され始め、日本も出鼻をくじかれる恐れが出てきている。 海外の物価上昇が日本でも輸入物価の大幅な上昇として表れ、消費者物価の上昇率もついに4%台に乗せた。これが今後、国内消費を一気に冷やす可能性も出てきている。そんな中で、行動制限を行わず、経済活動を優先させることが不可欠になってきている。 帝国データバンクが公表している企業倒産件数は2022年12月まで8カ月連続で前年同月比を上回っている。中でも飲食店の倒産が大幅に増加、5カ月連続で前年同月比70%以上の増になっている。新型コロナ患者の急増のニュースが流れると、高齢者を中心に外食を控える動きが強まることから、年明け以降も経営が悪化する飲食店が少なくない。 そんな中で期待されているのが訪日外国人による消費、いわゆる「インバウンド消費」の増加だ。特に円安が続いているため、海外からやってくる外国人にとっては猛烈な「安さ」になっており、訪日客の急増が期待されている。 2022年10月11日からは外国人観光客の入国制限を大幅に緩和。個人旅行も解禁された。日本政府観光局(JNTO)の推計によると、10月の訪日外客数は49万8646人と1年前の2万2113人から急増、11月は93万4500人(前の年は2万682人)、12月は137万人(同1万2084人)と急ピッチで回復している。 ところが、外国人観光客に人気のエリアにある商店に聞くと、客が戻ってきた嬉しさの半面、売り上げはかつてのブーム時とはまったくレベルが異なるというため息が聞こえてくる。
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高齢者などの多少の命を犠牲にしても、経済優先なのでしょうか。
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