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<プロボクシング:WBA、WBO世界スーパーフライ級王座統一12回戦>◇31日◇東京・大田区総合体育館 WBO世界スーパーフライ級王者井岡一翔(33=志成)が引き分けで、日本初となる2階級での王座統一を逃した。WBA世界同級王者ジョシュア・フランコ(27=米国)と2本の世界ベルトを懸けて拳を交えたが、引き分けた。判定は115(フランコ)-113、114-114、114-114でマジョリティードローとなった。12年のWBA、WBC世界ミニマム級王座に続く、王座統一はならなかったが、WBO王座の6度目防衛に成功した。 井岡は試合後、「期待に応えられず申し訳ありません。みなさん、応援ありがとうございました。ドローでベルトは守ったので次につながると思います。来年もよろしくお願いします。圧倒的な差を見せられなかった。(フランコは)気持ちと技術が高い選手。強かったです」と汗をぬぐった。 コロナ禍の移動制限緩和を受け、約3年ぶりに米国合宿を敢行した。キューバ人トレーナーのイスマエル・サラス氏(65)のもと、ラスベガスの同氏主宰ジムで約2カ月間、スパーリング中心のキャンプに取り組んだ。フランコに似たスタイルの世界ランカーらと実戦トレをこなすとともに連日、同地の急勾配となる約400メートルの山道をダッシュ。「心臓が破れそうだった。12回を戦う上での体力、技術のベースになる」と強化を図った。 現地では一軒家をレンタルし、管理栄養士の玉城光平氏に専属シェフを依頼してたんぱく質が多めの日本食中心のメニューを摂取。ウエート管理も徹底し、約8キロある減量も成功させた。調整までの手応えは十分あった。井岡は「今になってプレッシャーを背負っているという感覚はなく、日々、自分自身と闘い、良い準備をしてきた。あとは自分を信じて戦いたい」とリングに立っていた。 22年は日本勢の統一戦ラッシュだった。4月の村田諒太(帝拳)-ゲンナジー・ゴロフキン(カザフスタン)戦を皮切りに、12月の井上尚弥(大橋)-ポール・バトラー(英国)戦まで統一戦は4度も開催された。井岡は「他選手が統一戦しているのは素晴らしい。盛り上がっているのも事実。今年最後の日に盛り上がる試合でベルトを統一したい」と大トリ「統一戦」への自覚は十分だった。 約4年前から対戦を熱望してきたWBC世界同級王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(32=メキシコ)との王座統一戦の可能性は残した。WBOからは同級1位で前WBO世界フライ級王者の中谷潤人(M.T)との180日以内の指名試合を義務付けられた。2団体統一王者にはなれなかったものの、23年も井岡はファン注目のカードに臨むことになりそうだ。 【ラウンドVTR】 1回 井岡が先にジャブを突き、先手を奪う。フランコは高いガードで防御。井岡はその隙間を狙い、ジャブを放つ 2回 フランコが積極的に前へ出て左フックを多用。井岡はきっちり距離をとり有効打を与えず 3回 ジャブ連打のフランコが手数で勝る。井岡は距離保ち、見極めながら右アッパーで攻める。ラウンド終盤には右フックがヒット 4回 井岡がフランコが出てきたタイミング逃さず右カウンター。距離を詰め左右ボディーで攻める 5回 フランコがジャブ突き前に出るタイミングで井岡がカウンター狙い。フランコは手数をかけて圧力をかけるも、井岡は巧みにパンチを返す 6回 お互いに足を止め、距離を詰めた打ち合い。フランコは左右フック放ち、ガードが空いたところ井岡が左ボディーを狙い打つ 7回 ゴング直後に井岡が左アッパー。フランコはかまわず前に圧力をかけながら、左右フックを放つ 8回 フランコがパンチをまとめて圧力をかけ続ける。井岡は下がりながらも左ボディーを狙い、相手の動きを止めにかかる 9回 井岡が下がりながら左ボディー、右カウンターを放つ。さらに左右フック、右アッパーでフランコを攻める 10回 フランコの強烈な右ストレートがヒット。井岡は左フックから右ストレートのコンビネーションで応戦。足を止めた打ち合いではフランコのパワーに押される 11回 フランコが真っすぐ突き進み左右連打に井岡は防戦。左を中心に反撃に出るが、決定打を奪えない。フランコの連打が止まらず、井岡は防戦に回る 12回 井岡が吠えて最後のラウンドに向かう。左右に動きながら左ボディーから組み立てる。ただ、フランコの勢いは衰えず、手数で圧倒。残り1分、井岡は力を振り絞り左右フックを放ち、最後に連打をまとめる。判定はジャッジ1人が115-113でフランコを支持も、2人が114-114。規定により引き分けで両者防衛となった ○…試合は判定に持ち込まれ、ジャッジ1人が115-113でフランコを支持も、2人が114-114。規定により引き分けで両者防衛となった。今回はマジョリティードローというケースになる。3人のジャッジのうち、1人が一方の選手の勝利を裁定しても、残り2人の審判が引き分けと裁定した場合、マジョリティードローとなる。 ◆井岡一翔(いおか・かずと)1989年(平元)3月24日、大阪・堺市生まれ。興国高で史上3人目の高校6冠を達成。東農大2年中退で09年プロデビュー。11年に当時日本最速7戦目でWBC世界ミニマム級王座、12年にWBA世界ライトフライ級、15年に18戦目の当時世界最速でWBA世界フライ級王座獲得。17年に1度引退も、18年に復帰。19年再挑戦でWBOスーパーフライ級王座を獲得し、日本初の世界4階級制覇を達成。163.5センチの右ボクサーファイター。家族は夫人と2男。
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対戦者が強かったということでしょう。この階級での王座統一は難しそうです。
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