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北海道から大阪に向かうピーチ・アビエーションの飛行機内で2020年9月、マスク着用を拒んで客室乗務員らとトラブルになり、臨時着陸させたとして、大阪府警は19日、乗客だった私立大の非常勤職員、奥野淳也容疑者(34)=茨城県取手市=を威力業務妨害と傷害などの疑いで逮捕した。捜査関係者が明らかにした。 府警は同日午後、奥野容疑者の自宅などを捜索。捜査員に付き添われて自宅を出る際、奥野容疑者は「不当な警察権力の介入だ」などと叫び、捜査車両に乗せられた。 逮捕容疑は20年9月7日、釧路空港から関西国際空港に向かう機内で、女性客室乗務員の腕をひねって軽傷を負わせた上、飛行機を新潟空港に臨時着陸させてピーチ社の業務を妨害したとしている。 府警は、飛行中の機内で乗客らの安全を脅かす行為で、悪質性が高いと判断したとみられる。 ピーチ社によると、離陸前に乗務員らがマスク着用を求めたが、奥野容疑者は「要請するなら書面を出せ」と拒否。離陸後も威圧的な態度で拒んだという。機長は航空法の「安全阻害行為」に当たると判断し、臨時着陸して奥野容疑者を降ろした。約2時間15分遅れで関空に到着し、乗客約120人に影響した。同社は「機内で大声を出し、他の乗客や乗務員を威嚇したため、安全阻害行為と判断した」と説明している。 奥野容疑者は逮捕前、毎日新聞の取材に「健康上の問題があり、長時間マスクをするのは困難だった。マスク着用は義務ではなく『お願い』で、根拠を聞く正当な理由があった」と話していた。【土田暁彦、安元久美子】 ◇運行業者悩ませる「マスクトラブル」 交通機関でのマスク着用を巡るトラブルは全国で相次ぎ、運行事業者は対応に苦慮している。 北海道エアシステム(HAC)の飛行機内では2020年9月、乗客の男性が理由を明らかにせずマスク着用を拒否。機長が安全阻害行為に当たると判断し、離陸前に男性を降ろした。 航空各社で作る「定期航空協会」は相次ぐトラブルを受け、マスク着用の要請に同意しない場合は「搭乗を断る場合がある」とホームページで明記。健康上の理由などで着用が難しい場合は申し出てもらうことや、代替品としてハンカチやスカーフ、フェースシールドを例示し、各社もこれに沿った対応を始めた。 タクシーは乗客が泥酔している場合などを除き、乗車を断れないと道路運送法で定められている。このため、各地のタクシー会社などは20年8月以降、乗客が正当な理由なくマスク着用を拒否した場合は乗車を断ることができるよう、運送約款の変更を申請。国土交通省は同年末までに東京都内で約2770、大阪府内で約560の事業者について約款変更を認めた。 欧米では航空会社がマスク着用を義務づける動きも進む。元日本航空社員の池辺洋一郎・崇城大教授(航空保安)は「国内では、離島など飛行機が生活路線になっている地域もあり、義務化には慎重な議論が必要だ。トラブルを避けるため、航空会社は搭乗前に着用を要請し、健康上の理由などで着用が難しい乗客は事前に申し出るべきだ」と指摘している。【土田暁彦、安元久美子】 ◇奥野容疑者との一問一答 奥野淳也容疑者(34)は逮捕前、複数回にわたって毎日新聞の電話取材に応じた。主なやりとりは以下の通り。【土田暁彦】 ――ピーチ社の客室乗務員からマスク着用を求められてトラブルになったか。 ◆そうだ。離陸前、乗務員から「マスクの着用をお願いします」と何度も言われ、「しない」と答えたり、「規約は何かありますか」と聞いたりした。離陸後も議論になった。他の乗客からも「マスクしろよ」「気持ち悪い」「なんでせえへんのや」などと言われ、悲しい気持ちになった。新潟空港で飛行機を降りる際には拍手も起こり、悲しい、残念な出来事だった。 ――なぜマスクをしないのか。 ◆個人の内面のことだが、健康上の理由から長時間の着用が困難だ。具体的な病名は出せない。マスク着用は任意のお願いだ。 ――ピーチ社は「乗客や乗務員に対する威嚇があった」と主張している。 ◆大声は出していない。私は耳が聞こえにくいので、声が大きくなることがある。暴言や暴力もなかった。私の一方的な威嚇ではなく、向こう(他の乗客)から絡んできた。規約の確認や、「他の乗客を注意していただけますか」と(乗務員に)仲裁をお願いしたので、正当な行為だと思う。 ――伝え方に問題はなかったのか。 ◆声がやや大きくなったかもしれず、反省すべき点があったかもしれない。ただ、それが飛行機を降ろされる理由になるのは心外だ。
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マスク拒否のトラブルで、悪質性が高いとしての逮捕は哀れです。マスク着用は、今や社会常識ですが、理解できず、周りに迷惑をかける人は逮捕されて当然だろう。
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