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ネコはなぜ、マタタビにすりすりと体をこすりつけるのか。江戸時代には既に知られていたネコにまつわる謎の答えを、岩手大や京都大、名古屋大などの研究チームが実験で突き止めたと発表した。マタタビに蚊を寄せ付けない成分が含まれ、それを体に付けるためだという。研究成果は21日、科学誌サイエンス・アドバンシズに掲載される。
マタタビはつる性の植物で、ネコが匂いをかいだときの反応は、江戸時代の浮世絵にも描かれている。「ネコにマタタビ」ということわざやマタタビ入りのペット用おもちゃがあるなど、イヌなどネコ科以外の動物には見られない特徴として広く知られる。一方でこの反応の理由は詳しくわかっていなかった。
チームは、マタタビの葉をすりつぶして、含まれている成分を分離し、1種類ずつネコに匂いをかがせてみた。すると、「ネペタラクトール」という成分に反応を示すことがわかった。
この成分を含ませたろ紙を、ネコがいるおりの壁面や天井に置くと、ネコは地面に転がらず、頭を壁面や天井にこすり付けた。ネコの反応は、ネペタラクトールを体に付けるためだとわかった。
ほかのネコ科動物でも同じ反応があるか確かめるため、天王寺動物園(大阪市)や神戸市立王子動物園の協力を得て、ジャガーやアムールヒョウ、シベリアオオヤマネコにネペタラクトールをかがせたところ、ネコと同じ反応を見せた。
チームは、ネペタラクトールの性質を調べ、蚊を寄せ付けない効果を持つことも突き止めた。そこでネコの頭に塗って蚊30匹を放つ実験もした。すると、蚊が頭に止まる数は、何も塗らない場合と比べて半減した。チームは、マタタビ反応は寄生虫フィラリアや病気を運ぶ蚊から身を守る重要な行動だと結論付けた。チームは、ネペタラクトールを使った新たな蚊よけ剤の開発につなげたいとしている。
蚊よけの目的と、ネコがマタタビで酔ったようになる陶酔状態の関連性はわかっていない。チームは、ネコがマタタビをかいだ時の脳内の状態を血液検査で調べ、いわゆる脳内麻薬の濃度が上がっていることも確かめた。チームの宮崎雅雄・岩手大教授は「茂みに潜んで狩りをするネコは蚊に刺されやすく、(陶酔の方は)鎮痛の意味があるのかもしれない」と話す。(野中良祐)
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体に塗らず、なめても蚊よけの効果があるのだろうか。
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