岸田文雄首相は、9日開かれた「公的価格評価検討委員会」の初会合で、介護職や保育士、看護師らの賃金引き上げについて「最優先課題だ。春闘に向けた議論に先んじ、経済対策で必要な措置を行い前倒しで実施する」と述べ、来年初頭の春闘が本格化する前の実現に意欲を示した。早ければ来年2月から、月給で5000円~1万円程度引き上げる方針で、同委員会は年内に結論をまとめる。
介護や保育、医療サービスの対価は公的に価格が決まるため、人手不足でも賃金が上がりにくい。岸田首相は分配重視の政策を進める姿勢を打ち出しており、介護職らの処遇改善を民間企業の賃上げの機運醸成につなげるとともに、非正規の女性が多く働く医療・福祉分野の処遇改善を図り、人手不足の解消や格差是正につなげる狙いもある。首相は幼稚園教諭の賃上げにも言及した。
2020年の厚生労働省の調査では、フルタイムで働く人の男女計の平均月給(残業代などを除く)は、全産業平均の30万7700円に対し、介護施設職員は23万9800円、保育士は24万5800円、看護師は30万9100円だった。
引き上げの原資については、交付金として一定期間分を一括支給し、来年度後半からは介護サービスの対価として事業所が受け取る介護報酬を加算して引き上げる方針。ただ、財源を税金で賄うことによる国民負担増や、介護保険料引き上げにつながる可能性もある。【石田奈津子】
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税金を分配の財源とするのであれば、きちんと増税の議論が必要でしょう。
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