政府が8日に閣議決定した追加経済対策の事業規模は73兆円超に膨らんだ。自治体への追加交付金など新型コロナウイルス感染拡大で当面必要となる予算額だけでなく、何年もかけて取り組む事業の財源として、巨額の基金を創設するためだ。単年度では使い切れない事業費を一挙に囲い込み、対策規模の大きさを演出した格好だが、国会審議などを通じたチェックは働きにくく、予算編成のあり方に疑問の声も上がる。 「新たな成長に向けた対策を盛り込んでいる」。閣議決定に先立つ8日の経済財政諮問会議。菅義偉首相はこう強調し、今回の追加経済対策が実質国内総生産(GDP)を3・6%程度(約20兆円)押し上げるとの試算を明らかにした。 策定作業は今回も「規模ありき」だった。持ち出された「根拠」は7~9月期のGDP。内閣府はこれを本来の日本経済の「実力」と比べ、年換算で34兆円不足しているとはじいた。西村康稔経済再生担当相は8日の記者会見で「常に34兆円を頭に置いていた」と明かした。 そもそも日本経済は持ち直しが続いており、需要不足を34兆円と算定するのは無理がある。だが「規模ありき」の政治の要請に正論は吹き飛んだ。「34兆円を埋める規模を主張するのは信じられない。何の根拠にもならない」。財務省幹部は憤りを隠さないが、財政支出はそれをさらに上回る約40兆円に達した。 もっとも、いくら予算を積み上げたところで、感染症のもとでは経済活動が制約され、世の中にお金が回らない。見かけの事業規模をどう膨らませるか。困った政府がひねり出した手法が基金の創設だ。 脱炭素に向けた10年間にわたる企業支援の基金は2兆円を用意。地方自治体の情報システムの共通化に向け、数千億円の基金も創設する。基金の運用益を大学の運営費に充てるファンドも4兆円超の予算をつける。新型コロナ収束後を見据えた成長戦略との位置付けだが、単年度では使い切れない事業費を先取りして確保したにすぎず、足元の景気への即効性は期待できない。 しかもこうした基金を財源とした事業は使い道のチェックが難しく、国会で「憲法が規定する予算の単年度主義に反する」「内容や枠組みが固まっていない」などと批判されてきた。 基金創設はリーマン・ショック後や消費税増税後の景気下支えを掲げた時期にも繰り返された。お金を積んだものの事業化が低調なものも少なくなく、政府の行政改革推進会議が2019年度に136の基金を点検した結果、1750億円が国庫に返納されることになっている。
こうした基金に、当面の使い道を特定しない予備費を含めると、今回の追加経済対策に伴う財政支出の4割以上を占めることになる。一橋大の佐藤主光教授(財政学)は「事後的に厳しくチェックし、効果を検証するべきだ」と語る。 (中野雄策)
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コロナ禍のどさくさに紛れて、基金や予備費を計上し、まったくコロナ対策と関係ないところに無駄に使われるのだろう。
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