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1年以内に行われる総選挙を見据えて、調整は難航
政府は75歳以上の後期高齢者が医療機関で支払う窓口負担をめぐり、収入の多い人については2022年10月以降に、現状の1割負担から2割負担に引き上げる方針を固めた。しかし与党との調整が整わず、12月4日に引き続き、7日も全世代型社会保障検討会議の開催を見送った。 飯田)6日には公明党と自民党の幹事長の会談なども行われ、そこで中身を詰めているという話ですが、これがなかなかまとまらない。 武見)自民党のなかで実際に意見の取りまとめをしていたのですが、多くの同僚の議員さんたちは、後期高齢者ともなると、コロナ禍で最もリスクが高く、しかも家のなかに閉じこもることによる「フレイル(虚弱)リスク」という課題がより深刻化する。そういうなかで、高齢者の2割負担を導入するということに対して、理解が得られるタイミングではないという判断が殆どでした。なかには、「若い世代の負担軽減のために、高齢者のみなさん方にも負担をしていただかなければならない」という意見もあって、これも正論だと思います。ただ、そういう議論もあったなかで、大勢は前者の方だったという印象です。その上で、政調会長がそうした意見を官邸に持って行き、総理にも伝えたと聞いています。
公明党との調整が難航~政調会長ではまとまらず、幹事長が調整
武見)公明党の方も同様の見解で、この時期に高齢者に対する負担の引き上げをすることに対する懸念というのはありました。その調整が、特に公明党との間で難航していて、本来ならば、政策の責任者である自民党の政調会長が調整役になるのですが、政調会長レベルでは埒があかなくなってしまった。それで幹事長が調整するという状況になっている。ところがそれでもまとまらないということで延期されて、いつ再開されるかわからないという状態です。 飯田)公明党側はもともと、「これは先送りした方がいいのではないか、いまやることではないのではないか」と言っていたのが、苦肉の策として、「年収240万円以上の対象者が1割程度に狭めた形で交渉する」ということになりましたが、現場を見ている議員さんたちの本音としては、「いまはやらない方がいいのではないか」ということではないでしょうか? 武見)1年以内に総選挙、衆議院議員選挙があるわけですから、深刻な状況下にある高齢者に、追い打ちをかけるような負担増を決定すれば、それは当然、選挙にも影響すると思います。そういうことも含めて、議論の大勢は否定的な流れが強い。現在、「年収170万円のラインまでご負担願いたい」という意見が出ていますが、それをそのまま実行すると年間3.4万円ほど高齢者の負担が増えてしまいます。 飯田)3.4万円。 武見)収入も少なく、高齢者ともなると、身体もあちこち悪くなるわけですから、いろいろな診療科で診察を受けて治療を行うのはやむを得ないことです。それを敢えて「他科受診はいかん、渡り歩きは医療機関をサロンにする」という考え方を持っている人達の意見でやっているようなフシも見受けられます。私は、この考え方は健全ではないと思います。
地域医療のなかで「かかりつけ医」を制度設計するべき
武見)これからは、地域医療のなかでかかりつけ医を制度設計するべきだと思います。かかりつけ医でも、さまざまな診療科目の初期段階であれば、診断治療ができるという総合臨床医の能力を持つように医学教育でもきちんと育てる。それで「かかりつけ医がゲートキーパーとなって、そこから専門的な医療機関に紹介する」という仕組みを日本は制度化しなければならない。そうすれば医療費全体を、質を落とさず適正化できる。これをもっと本気でやらなければいけないと思います。 飯田)患者さんだって、好きでいろいろな病院を回っているわけではないですものね。
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菅政権がごり押しすると、次の選挙は自民党大敗もあるだろう。
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