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ロシアのプーチン大統領が強行するウクライナ侵攻に対し、英国は米欧日と連携し、厳しい対露制裁やウクライナへの追加支援方針を相次いで打ち出している。ジュリア・ロングボトム駐日英大使が読売新聞に寄稿した。
プーチンによるいわれなき不法なウクライナ侵攻から2週間が過ぎた。罪なき市民が自宅を攻撃され、逃れる間に殺されている。欧州の戦火の映像が世界に衝撃を与えている。
国際的な反応はプーチンの予想以上に迅速かつ厳しく、組織的また統一されたものとなった。英国と日本は同志諸国と協調して、金融、人道、防衛の各分野でウクライナ支援を強化している。プーチンや不当な侵略を支持する人物に対し、我々は共に、前例なき一連の制裁も科している。
プーチンの選択した戦争は世界的規模で非難されている。国連総会では今回を含め11回しか開催されたことがない緊急特別会合が開かれ、141か国がロシアの行為を非難する決議に賛成した。英国と日本を含め、これまでにない多くの国が国際刑事裁判所(ICC)に対し、ロシアの戦争犯罪を捜査するよう要請した。ICCに付託されたケースとしてはこれまでで最も大きな国に対するものだ。
複数の大手消費者ブランドがロシア市場から撤退している。ロシアとベラルーシは北京冬季パラリンピックを含む数多くのスポーツイベントから排除された。プーチンのロシアは政治的、経済的、そして社会的に孤立している。
岸田首相が指摘した通り、ロシアの侵略はウクライナの主権だけでなく、ルールに基づく国際秩序全体を脅かしている。人権が踏みにじられ、人命が失われている。プーチンは必ず失敗しなければならない。しかもその失敗を目に見えるものにしなければならない。
だからこそ我々は、主権と領土保全に対する攻撃にさらされているウクライナ政府を支援し続けなければならない。ウクライナによる自国防衛の取り組みを支援し、他の国々に対しては日英両国と同様に人道支援に深く関与するよう促す。更なる制裁やロシア産石油・ガスへの依存からの脱却を通じ、ロシアの行いへの代償を引き上げ続ける。
我々は、ウクライナでのロシアの行為が徐々に常態化するのを許してはならない。ロシアのうそや偽情報に立ち向かわなければならない。各国政府だけではなく世界の人々がプーチンの行動を非難していることを彼に示さねばならない。非難は日本でも既に、ウクライナ大使館への惜しみない寄付やプーチンの行動に対する街頭抗議行動など目に見える形で行われている。
私は、日英両国の経済・安全保障分野の連携を更に強化するという明確な任務を負って来日した。この2週間は、その連携がいかに不可欠で緊密なものかを示すこととなった。
歴史の目が我々に向けられている。日英両国そして法の支配を信条とする全ての国々はこの露骨な侵略に共に立ち向かい、自由と民主主義、世界の国々の主権のために闘い続けるだろう。
◆Julia Longbottom 1986年に英外務省入り。2012年に在日英大使館公使、20年に英外務省コロナウイルス対策本部長に就任。21年3月から現職。
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ロシアの不法な軍事進攻により、罪なき市民が殺されていることを、深く考えなければいけない。
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