中国共産党の習近平総書記(国家主席)は就任した2012年以降の2期10年で、反腐敗闘争を通じて政敵を排除しながら着実に「1強」体制を築いた。自らの権威を党規約などで明文化して党内の異論を押さえ込み、強権的な「ゼロコロナ」政策も実績としてアピールするなど「偉大な指導者」の演出に余念がない。
「中華民族発展史に輝く歴史的勝利を勝ち取った」。16日の党大会初日の政治報告で、習氏は過去10年の実績について豪語。会場から大きな拍手が起こり、長期支配を予感させた。
習氏が指導部発足後、まず始めたのが「トラもハエもたたく」とした反腐敗の汚職撲滅運動だ。周永康元政治局常務委員らを失脚させ、長期政権へ足場を固めた。今年4月までに立件された党や政府の幹部らは約470万人に上る。
対外的には巨大経済圏構想「一帯一路」で途上国などへの影響力を強め、国内に成果をアピール。16年には党の重要会議で、習氏が別格の指導者である「核心」と位置付けられた。
17年の前回党大会では自身の名を冠した「思想」を党規約に明記させることに成功し、建国の父・毛沢東に迫る権威を獲得。2期目以降は権力集中の動きが加速した。18年の全国人民代表大会(全人代)では国家主席の任期制限を憲法から撤廃し、毛時代のような長期支配を可能とした。
近年は、3期目入りを目指す今回の党大会に合わせるように実績づくりを急いだ。20年には「脱貧困」を達成したとし、翌年の党創建100年式典で「小康社会(ややゆとりのある社会)」の実現を宣言した。新型コロナウイルス対応では厳格なゼロコロナ政策を強行。国民への監視を強化し経済に混乱も招いたが、これも「成果」と誇った。
昨年11月に採択した党史上3回目の「歴史決議」では、鄧小平主導の決議にあった「個人崇拝禁止」や「集団指導」が記されなかった。今回の党大会では毛沢東をたたえる際に使われた「領袖(りょうしゅう)」の称号を用いて習氏を礼賛する声が相次いでおり、3期目体制では事実上の個人崇拝がさらに進む恐れもある。(桑村朋)
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一強で愚かな指導者は危険でしょう。
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